坂本龍一“ラストコンサート”で「新境地かな」 戦メリテーマ曲など全13曲披露 体力面を考慮、事前収録

[ 2022年12月11日 14:30 ]

配信でピアノ・ソロ・コンサートを行った坂本龍一(C)2022 KAB Inc.
Photo By 提供写真

 がん治療を公表し、今年6月に自身のがんの進行度が「ステージ4」にあると明かした世界的音楽家・坂本龍一(70)が11日、事前収録したピアノ・ソロ・コンサートを配信した。体調面から「これが最後になるかもしれない」と“ラストコンサート”を示唆していた今回の公演。自ら手掛けた映画「戦場のメリークリスマス」のテーマ曲など全13曲を披露した。

 約2年ぶりのコンサートは、終始モノクロの映像で進んだ。首は細く、顔は少々痩せた様子。映し出された手元は筋張っていたが、美しく豊かな音色を響かせていた。バンド「イエロー・マジック・オーケストラ(YMO)」時代の「東風(Tong Poo)」では、静かにほほ笑む場面も。途中MCなどは一切なく、純粋に“音”を楽しむ時間となった。坂本は本編後に動画コメントを公開。「今回初めてピアノソロで弾く曲もずいぶんあり、アレンジも選曲も時間をかけて、慎重にやった。自分としては、ここに来て新境地かなという気持ちもあります」と語った。

 本公演は体力面を考慮し、生演奏ではなく今年9月中旬に事前収録したものを配信。場所は東京・NHK放送センターの509スタジオ。「YMO」黄金期にあたる80年代に何度も演奏や公開収録を行った思い出の場所で、1日に数曲ずつ演奏し、収録に数日かけて完成。映像は米・ニューヨークから招集した映画製作チームが撮影した。

 自身71歳の誕生日を迎える来年1月17日には、約6年ぶりのオリジナルアルバム「12」が発売。本編後に「闘病中、音の日記としてスケッチをしてきたものを選んだ」と話し、過去2年間で最も厳しい闘病期間中だった時に生まれた曲を含む12曲が収録。タイトルは各曲を制作した日付がタイトルになっている。本編後の特典として、全曲先行フル視聴が可能。「映像はないですが、音だけ楽しんでもらえたら」と呼びかけた。

 コンサートは日本や欧米、アジアなど約30の国や地域に配信。1回目の同時視聴は3万人を超えた。日本時間の12日朝まで計4回の視聴が可能。

続きを表示

この記事のフォト

2022年12月11日のニュース