補強ポイントから見たドラフト各球団イチ推し選手セ・リーグ編!阪神は右打者、巨人は野手スター候補

[ 2022年10月20日 05:30 ]

日本文理・田中晴也投手、浦和学院・高山維月捕手、立大・山田健太内野手、下段左から慶大・萩尾匡也外野手、利根商・内田湘大内野手、天理大・友杉篤輝内野手
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 20日に行われるドラフト会議。直前特集の最終回となる第3弾は「おすすめ選手はこれだ!」だ。フリーライターの菊地選手(40)が、各球団の補強ポイントを分析し、全国を駆け回って吟味したドラフト候補から球団別の獲得すべき選手を紹介する。

 ≪ヤクルト 日本文理・田中晴也投手 高い潜在力≫村上宗隆という大看板がそびえ、若手が続々と台頭する野手陣はしばらく盤石。一方、首脳陣の優れた運用でリーグ連覇こそ飾ったものの、2桁勝利を挙げた投手は2年連続でゼロ。1位を公表した吉村貢司郎(東芝)は社会人でもまれた実力に、高い奪三振能力でリリーフ適性もある。6日の練習試合では3回無失点で村上から空振り三振など7三振を奪った。2位以下でも、田中晴也(日本文理)のような潜在能力の高い投手を積極的に獲得したい。近未来の村上のメジャー流出に備え、実弟の村上慶太(九州学院)を育成するのも手だろう。

 ≪DeNA 浦和学院・高山維月捕手 次世代を担う≫今季は2位と躍進したが、実は補強ポイントが山積み。山崎康晃のメジャー移籍が予想される救援陣、層が薄い先発陣、次世代の正捕手が乏しい捕手陣、主力と控えのレベル差が激しい内野陣と埋めるべきポイントは多い。今年は高校生捕手に好素材が多く、松尾汐恩(大阪桐蔭)を1位で獲得するか、高山維月(浦和学院)のような大化けに期待できる素材型を中位以下で押さえたい。小園健太と近未来の二枚看板を張れる投手なら競合覚悟の荘司康誠(立大)、リリーフ適性もある即戦力投手なら吉野光樹(トヨタ自動車)が有力だ。

 ≪阪神 立大・山田健太内野手 高打率を期待≫22歳前後の投手層の充実度は12球団No.1。補強ポイントはどう考えても野手、それも不足している右打者だろう。加えて阪神は近畿圏のメディアやファンの熱視線を受けながらプレーする宿命があるだけに、強靱(きょうじん)なメンタリティーの持ち主でなければ息の長い活躍は見込めない。全ての条件に当てはまるのが、浅野翔吾(高松商)だ。超攻撃的1番打者として、甲子園で大暴れするイメージが湧いてくる。内野手なら大型ながら二塁が守れて高打率を期待できる山田健太(立大)や、視野の広さとしぶとさが光る戸井零士(天理)を推したい。

 ≪巨人 慶大・萩尾匡也外野手 泥くさい強さ≫今季プロ初勝利を挙げた投手が8人も出現するなど、芽吹きつつある若手投手が多い。その半面、野手陣に近未来のスター候補と言える存在は、秋広優人くらいしか見当たらない。次世代の主力になり得る野手が是が非でも欲しい。原辰徳監督が求める選手像は「強い選手」。体の強さ、ハートの強さ、大舞台での強さを兼ね備えた浅野翔吾(高松商)の1位指名は理にかなっている。投手なら3度のドラフト指名漏れを経験しながらはい上がってきた小孫竜二(鷺宮製作所)、野手なら泥くさい萩尾匡也(慶大)といった強い選手を確保していきたい。

 ≪広島 利根商・内田湘大内野手 “第二の誠也”≫すでに斉藤優汰(苫小牧中央)の1位指名を公言。骨太な大エースを育てたい意欲を感じるが、実は近年の広島は高卒投手を大成させた実績が乏しい。主力の多くは大卒や社会人出身。斉藤の素材は素晴らしいものの「右の強打者育成」という積年の課題も残る広島が獲るべき選手か?という疑問も残る。2位以下では確実に右の強打者を獲得したいところだ。幸い今年は内田湘大(利根商)、古川雄大(佐伯鶴城)、前田一輝(鳴門)といったポテンシャルの高い高校生右打者がいる。広島らしく猛練習で第二の鈴木誠也(カブス)を育ててほしい。

 ≪中日 天理大・友杉篤輝内野手 速さを生かす≫1位で仲地礼亜(沖縄大)を公表も、慢性的な貧打に悩まされている。昨年も右の強打の外野手を3人とアンバランスな指名だったが、二遊間の層の薄さを解消する方が先決だろう。スピードを生かしチームカラーに合いそうな友杉篤輝(天理大)らは、うってつけだ。今年も強打者を獲得するなら、バランス的に内野手にすべき。上位なら内藤鵬(日本航空石川)、中位以下ならミスターフルスイング・平良竜哉(NTT西日本)がオススメ。広い本拠地で打撃が小さくなる選手が続出しているだけに、生半可な打者を獲得しても効果は薄い。

 ◇菊地選手(きくちせんしゅ)1982年(昭57)生まれ。本名・菊地高弘。雑誌「野球小僧」「野球太郎」の編集部員を経て、15年4月からフリーライターに。ドラフト候補の取材をメインに活動し、ツイッター上で「大谷翔平」とツイートした最初の人物(10年10月8日)。野球部員の生態を分析する「野球部研究家」としても活動しつつ、さまざまな媒体で選手視点からの記事を寄稿している。著書にあるある本の元祖「野球部あるある」(集英社)などがある。ツイッターアカウント:@kikuchiplayer 

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