20日ドラフト 08年以降最多の重複なし9球団ドラ1公表 目玉不在で異例ドミノ「巨人浅野」が火付け役

[ 2022年10月20日 05:30 ]

ドラフトが行われる10月20日の日付を指さす浅野(撮影・岸 良祐) 
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 プロ入りを目指す選手にとっては、まさに運命の一日となるドラフト会議。現行ルールとなった08年以降で重複することなく9球団が1位指名を公表したのは最多だ。9月28日に巨人が早々に高松商(香川)の浅野翔吾外野手(17)の1位指名を公表し、他球団にも次々に連鎖した異例の事態。アマチュア担当キャップの田中健人記者(33)が解説する。

 目玉が不在のドラフトが招いた現象といえる。ドラフト前日までに9球団が1位指名を公表したが、一切のかぶりがない。「競合覚悟でも獲りにいく」という選手が少なかったことを物語っている。

 09年は現行制度では最多となる10球団が公表した。ただ、同年は夏の甲子園で4強入りするなどした花巻東・菊池雄星(現ブルージェイズ)を7球団が1位指名を公表(当日は6球団が指名)。菊池という「目玉」があってこその現象だ。

 今回の「ドミノ公表」の火付け役は巨人だ。9月28日に12球団最速で浅野の1位指名公表に踏み切った。浅野も今夏の甲子園で3本塁打を放つなど大きな注目を集めたものの、発展途上の高校生野手。あくまで「素材型」の選手だ。公表の最大のメリットは他球団へのけん制。他球団は浅野を指名して確実に競合となるよりも、それぞれの補強ポイントに合い、競合の可能性が低い選手を獲得したいと考える。この日も中日、ヤクルトの2球団が駆け込みで公表。阪神、DeNA、ロッテの3球団を除き、公表球団は9球団まで増えた。

 この日、西武の渡辺久信GMは「(重複)覚悟で行くときもあるだろうし、今年みたいに多くの球団が重複を避けるような年もある」と言った。ある球団のスカウトからは早い段階で「6球団ぐらいが公表するかも」と聞いていたが、その予想を大きく上回った。

 「そらやりにくい。後追いになってしまうのでね。例がないでしょう、こんなのは。(公表した球団に)どういう意図があるのか、ちょっと分からないですけど…」。百戦錬磨の阪神・岡田新監督の言葉も、異例の事態を如実に物語っている。(アマチュア担当キャップ)

 ≪09年10球団も対象は4人だけ≫今年のドラフトはセ、パ9球団が1位指名選手を公表し、全て異なる選手となっている。ドラフトが高校生と大学・社会人の分離開催から一括開催となった08年以降では09年の10球団に次ぐ多さで9選手の公表は最多だ。なお09年は10球団の公表ながら対象選手は4人だけで7球団(ロ、西、神、ヤ、楽、中、日)が菊池雄星(花巻東)、横浜が筒香嘉智(横浜)、広島が今村猛(清峰)、巨人が長野久義(Honda)を公表。菊池は、前記7球団のうち、当日指名を回避したロッテを除く6球団の抽選で西武が交渉権を獲得し、筒香、今村、長野は公表球団の単独指名だった。

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