大谷、右肘違和感訴えMRI検査 2度目の登板で感じた「4つの異変」

[ 2020年8月4日 02:30 ]

<エンゼルス・アストロズ>1回を投げ終え、右腕に上着を掛けて試合を見る大谷。降板後に右腕に違和感を訴え、精密検査を受けた
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 悪夢、再び――。エンゼルスの大谷翔平投手(26)が2日(日本時間3日)、アストロズ戦に先発。1回2/3を投げて無安打2失点、5四球で降板し、右腕に違和感を訴えてMRI(磁気共鳴画像装置)検査を受けた。18年10月に受けた右肘じん帯再建手術(通称トミー・ジョン手術)から復帰後2度目の登板。日本ハム時代から大谷を取材する柳原直之記者(34)は、登板中に4つの異変を感じていた。

 不安が的中した。試合後、エンゼルスの球団広報が「降板後、右腕に違和感を訴え、MRI検査を受けた。もう球場にはいない」と発表した。

 8球で3者凡退に仕留めた初回から一転、2回は42球も費やし、2者連続で押し出し四球を出して降板。1死も取れず5失点の前回に続き、2度目の登板も早期降板となった。検査結果の公表は3日(日本時間4日)以降の予定。ただ、試合中の異変は随所に見えた。

 (1)急激な球速ダウン 2回無死一、二塁。レディックへの6球目に最速97マイル(約156キロ)を計測した一方で、降板直前のスプリンガーに投じた直球3球全てが89マイル(約143キロ)台に急落した。トミー・ジョン手術を受ける前の最後のマウンドとなった18年9月2日のアストロズ戦でも起こった現象だ。当時は最速99・3マイル(約160キロ)から同じ89マイル台に。今回はレディックに97マイルを投じた直後、右肘を触るしぐさもあった。

 (2)右腕に上着をかけて待機 気温30度。抜けるような青空が広がる真夏のデーゲームで、初回の攻撃中に大谷は右腕に上着をかけて待機した。肩や肘を冷やさない狙いがあり、メジャーではよくある光景だが、大谷はあまりしない。異変の予兆にも映った。

 (3)声を上げての投球 2回2死満塁。ガルノーの2球目にスプリットを投げると同時に「アアッ!」と大きな声を出した。ここから降板までの10球全てで大谷は声を上げた。カブス・ダルビッシュ、ツインズ・前田ら声を出して投げる投手は日米問わず数多いが、大谷は違う。痛みを我慢しながら歯を食いしばるあまり、思わず声が出た可能性がある。

 (4)5秒間の沈黙 降板後、ベンチに座った大谷は身をかがめ、険しい表情のまま下を向いた。約5秒間。コーチに肩を叩かれても、反応できなかった。ドジャースのカーショーら数多くのスーパースターを取材し、現在は大谷番を務めるロサンゼルス・タイムズ紙のディラン・ヘルナンデス記者は「大谷はメンタルが凄い。凄く自分の能力に自信がある」と分析する。だが、降板後の表情には、これまでにないメンタルの揺らぎが垣間見えた。

 約1年10カ月にも及ぶリハビリ生活を乗り越えて復帰した右腕の、数々の異変。今後が懸念される。(柳原 直之)

 ▽18年9月2日アストロズ戦 右肘の内側側副じん帯損傷を経て6月6日のロイヤルズ以来の復帰登板。2回1/3を2安打2失点で2敗目を喫した。初回に最速99.3マイル(約160キロ)を計測したが、降板した3回は平均5マイル(約8キロ)も球速が低下し、スプリンガーにスライダーを2ランされた。9月5日に受けた精密検査でじん帯に新たな損傷が判明し、手術を勧告された。

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