鈴木亮平 一生かけて突き詰める理想の俳優像「もっと人間を表現できるように」

[ 2021年11月21日 05:30 ]

ほほえみながらカメラを見つめる鈴木亮平(撮影・木村 揚輔)
Photo By スポニチ

 【俺の顔】自分自身ではない何者かの人生を体現できることが、俳優の醍醐味(だいごみ)の一つだ。救命救急医から極悪非道なやくざまで、2021年の鈴木亮平(38)はその幅の広さを存分に見せつけた。だが、一瞬たりとも現状にはとどまらない。「気持ちは学生の頃と全く変わらない。最初に演じた時の高揚感をいまだに感じる瞬間が多い」という初心のままに、理想の俳優像を探求し続けている。

 俳優に憧れたのは中学時代。大学で演劇サークルに入り、意思が固まった。

 「極めて面白いと思いました。自分が全然ダメで、こんなにも難しいことなんだと思い、これは飽きずに一生突き詰めていけるなという手応えがありました。今でもそこは追いかけています」

 デビュー後もなかなか芽が出なかったが、地道な努力で真摯(しんし)に役と向き合ってきた。

 「もうコツコツやるしかないですよ。目の前の壁を一足飛びに乗り越えられるような近道はないので、少しずつでもいいから掘っていってある時に向こう側の光が入ってくる感じです」

 14年のNHK連続テレビ小説「花子とアン」のヒロインの夫役で注目されたが、自信を深めたのは主演に抜てきされた18年の大河ドラマ「西郷どん」だという。

 「いまだに自分のお芝居を見ると反省点が多くて嫌になるんですけれど、1年4カ月、一人の人物を演じたことで大河ドラマでないと見えない到達点みたいなものが感じられました。もっと人間を表現できるようになりたい、地に足を着けて足りない部分は努力で埋めていくしかないという自信はある程度もらえました」

 昨年からのコロナ禍で仕事が半年ほど途絶えた。“休み明け”に臨んだのが映画「孤狼の血 LEVEL2」。邪魔なものは容赦なく排除する冷徹な組長で、恐らく東映やくざ史上、堅気の人間を手にかけたのは初めてだろう。これには「悪いヤツだなあ」と不敵な笑みを浮かべる。

 「常識人や前向きな役を頂くことが多いんですけれど、同じくらい人間の負の感情や側面に興味があったので脚本を読んで即決しました。これだけ強烈な役をやれると思ってくれた皆さんの気概に応えないといけないと思い、たまっていたエネルギーを全て噴出させました」

 同作の劇場公開と同じ時期に放送されていたのがTBS「TOKYO MER~走る緊急救命室~」。救命医として、災害や事故現場で命の尊さと向き合っているのだから面白い。

 「自分が絶対に経験できないような世界、人生を経験できるし、本当に信じ込めるようなセットを造ってくださる。こんなにぜいたくなことはないですね」

 十分な経験と実績を積んできたが、デビュー当時に思い描いていた現在地からは「だいぶビハインド」と言い切る。払拭(ふっしょく)できない心残りもある。初の映画出演となった07年「椿三十郎」など、3作品で起用してくれた故森田芳光監督に恩返しができなかったことだ。

 「森田さんは僕のことを気に入ってくださっていましたけれど、当時は自分の実力が追いつかなくて未熟だなとずっと思っていたんです。いつか森田さんの作品で主演することが目標だったので、それがかなわなくなってしまったので悔しい思い出です」

 寂しそうに語るが、それも糧として成長への努力は惜しまない。最近も世阿弥の「風姿花伝」から新たなモチベーションを得た。

 「能の世界ですが、役者は30代中盤くらいがピークで、そこまでに成し遂げられなければ無理だとシビアに書いてあったんです。でも、あなたの時とは時代が違うからと思って奮い立たせています。気力だけはまだ始めたばかりという気でいますし、もう少し自分で引っ張っていくようなスタイルを一つ持って確立していこうと思っています」

 不惑に向けてのさらなる躍進が楽しみになってきた。

 ≪「土竜の唄 FINAL」原作より過激!?鮮烈銀髪ロン毛≫鈴木が出演する映画「土竜の唄 FINAL」(監督三池崇史)が公開中だ。生田斗真(37)扮する潜入捜査官・菊川玲二に最強の敵として立ちはだかる轟烈雄(れお)役。こちらもやくざ役だが、なんといってもライオンのたてがみのような銀髪のロン毛姿が鮮烈で「衣装合わせに行ったら、(原作漫画の)絵よりも若干激しくなっていた。三池さんからの面白い挑戦状だと思ってやりがいを感じました」という。生田とは激しい格闘シーンもあり「お互いに経験を積んで、テストなしでもいけるだろうというくらい相性が良かった。信頼関係を生かしつつやれて、一番いい形になったと思います」と満足げだった。

 ◇鈴木 亮平(すずき・りょうへい) 1983年(昭58)3月29日生まれ、兵庫県出身の38歳。06年、テレビ朝日「レガッタ~君といた永遠~」で俳優デビュー。07年「椿三十郎」で映画初出演。主な映画主演作は13年「HK 変態仮面」、15年「俺物語!!」など。今年4月期のフジテレビ「レンアイ漫画家」で連ドラ初の単独主演。世界遺産検定1級の資格も持つ。

続きを表示

この記事のフォト

「美脚」特集記事

「結婚特集」特集記事

2021年11月21日のニュース