明桜・風間を育てた輿石重弘監督 今夏は甲子園で初白星

[ 2021年10月11日 12:06 ]

ノースアジア大明桜・風間を迎える輿石監督(左)
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 ノースアジア大明桜(秋田)は今夏、4年ぶり10度目の甲子園出場を果たし、1回戦で帯広農に4―2で勝利。就任5年目の輿石重弘監督は自身の甲子園初勝利を掴んだ。エースとしてチームをけん引した最速157キロ右腕・風間球打(きゅうた=3年)は、きょう11日に開催されるドラフト会議でソフトバンクが既に1位指名を公表している。

 輿石監督は「“本当に甲子園1勝というのは大変なんだな”という思いがありました。生徒たちに感謝の気持ちでいっぱいです」と今夏を振り返った。

 昨夏は秋田の独自大会で優勝するも甲子園はコロナ禍で中止となった。今夏の甲子園は1回戦の帯広農戦でリードするも雨天コールドで再試合となるなど雨天順延が相次いだ。長く険しい戦いの末、つかんだ白星だった。

 緻密な計算が4年ぶりの甲子園出場につながった。目の前の一戦を決勝戦と考えて戦う「一戦決勝」を信条とする指揮官。だが、秋田大会で見せた投手の起用法は大局を冷静に見極めたものだった。

 初戦の2回戦から決勝までの5試合で大黒柱の風間が登板したのは2回戦、準々決勝、決勝の3試合。「ローテーションを組めば(風間)球打も(石田)一斗も休養が取れてきっちり投げられる。抽選が終わった時に決めました」

 本職は遊撃手の2番手投手・石田一斗(いっと=3年)と風間を交互に先発させることで、2人のコンディションは常に良好だった。風間対策を徹底してきた相手校の予想を裏切った石田は好投し、万全の風間は圧巻の投球を見せて秋田を制した。

 昨夏の甲子園中止が決まった時、OBで現ロッテ・山口航輝から3年生にTシャツがプレゼントされた。そのTシャツを指揮官はこの夏、常に球場に持参した。「(去年の)3年生の分も甲子園に来たぞという意味でバッグに入れていました。勝つことができて本当によかった」

 新チームは秋季県大会準々決勝で敗退。だが、石田恋(2年)、上山優和(2年)と甲子園を知る選手が残る。「(風間)球打みたいな核になる選手はいないが、まとまりは凄くあるチームです」と輿石監督。甲子園に戻るための冬を迎える。(柳内 遼平)

 ◇輿石 重弘(こしいし・しげひろ)1963年(昭38)5月21日、山梨県出身の58歳。都留では甲子園出場なし。明大を経て、都留と帝京三の2校で監督などを歴任した。17年4月からノースアジア大明桜に社会科教諭として赴任。

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2021年10月11日のニュース