正念場で若獅子が躍動 12試合で5人が「プロ初本塁打」

[ 2021年4月11日 14:30 ]

<ロ・西>プロ初本塁打のボールにかじりつく愛斗(撮影・沢田 明徳)
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 栗山、森、ブランドン、中村、呉念庭、渡部、愛斗。10日現在、7勝を挙げている西武の本紙メイン原稿を飾った面々だ。新人2人を含め、昨年までは紙面で馴染みのなかった名前が並んでいる。

 本拠地での開幕3連戦を終え、札幌―福岡での遠征中に開幕4番の山川、同5番の栗山、同6番の外崎が故障のため、相次いで戦線を離脱した。ところが、早くも訪れた正念場で若獅子が躍動。12試合で5人が「プロ初本塁打」を放つ暴れっぷりに驚きを隠せない。

 リーグ連覇を飾った18、19年。指揮官自らが命名した強力「獅子おどし打線」は、ほぼ固定メンバーで戦ってきた。19年に不振の山川に代わって4番を任されたのはベテランの中村。主力打者が軒並み不振に陥った昨季も獅子奮迅の活躍を見せたのは、中村と同い年の栗山だった。数年後の将来が楽しみな若手の名前は挙がるが、レギュラー陣を脅かすような、そして紙面を賑わせるほどの活躍とは正直、無縁だった。

 呉念庭、愛斗はともに入団6年目。いわば「崖っぷち組」でもあった。呉は昇格即スタメンでプロ初本塁打を放ち、3試合目で3安打5打点。愛斗も昇格した日に今季初安打を放つと、2試合目で2発4打点。ともに2軍で4割近い打率を残しており、ベストな状態で力を発揮した。

 「(故障者)3人が抜けて、一人ずつ帰ってくるまでは、しっかり頑張るしかない」という辻監督も「選択肢がいっぱいある。下の選手も“頑張れば上にいけるんだ”という気持ちになってくれれば、さらに気持ちが違ってくる」と現状への手応えを口にした。

 それでも敵地で17年ぶりにソフトバンクを3タテしたかと思えば、ホームで楽天に3連敗。若手が多く、勢いと脆さが同居しているだけに手放しでは喜べないのも事実だ。外国人も近日中の合流にメドが立ち、山川、栗山の復帰にもそう時間が掛からないだろう。

 もちろん、先発陣の奮闘は欠かせない。だが、若手野手がレギュラー陣を押しのける活躍を継続できれば、圧倒的な戦力を誇るソフトバンク、先発ローテーションにビックネームがズラリと並ぶ楽天と十分に覇権を争えるだろう。(記者コラム・花里 雄太)

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2021年4月11日のニュース