【歴代番記者が語るイチロー】サングラス外し「イチロー」から「鈴木一朗」に

[ 2019年3月23日 08:30 ]

01年、サングラスをかけるイチロー
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 【甘利 陽一】初めて取材したのは、メジャー1年目の01年。キャンプ中は100人以上の報道陣が集まった。取材を受ける時、イチローは常にサングラスをかけていた。野球専門ではないメディアもおり、正直、レベルの低い質問もあった。その時は一言も答えない。サングラスの奥の視線が怖かった。沈黙は「次の質問」を意味していた。だから、イチローの打撃練習は目を凝らして観察した。一番見やすい三塁側に行き、必ず同じ場所から前日と変化がないかを見ていた。それだけ緊張感がある取材現場だった。

 7月のカンザスシティー。初めて食事に行く機会に恵まれた。日本料理店にやってきたイチローは、キャップをかぶり、いつものサングラス姿。強烈なオーラは球場と変わらない。しかし、個室に入り、サングラスを外すと「おなかすいた~」と発しながら、どかっと腰を下ろした。球場ではいつも「イチロー」を演じていた。そのスイッチが「鈴木一朗」に切り替わった瞬間を初めて見た気がした。

 イチローは締めに「天ざる」を注文した。しばらくすると、米国人の女性店員3人が入ってきた。お盆の上には10枚のざるそば。「天ざる」を「Ten(10個の)Zaru」と勘違いしたのだ。「俺、そんな食うように見えるかな。見えないだろ」。そう言って大爆笑していた姿は今も忘れられない。(01年マリナーズ担当、東京本社野球担当部長)

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