01年衝撃デビュー ステロイド全盛期にイチローが示した技とスピード

[ 2019年3月23日 11:00 ]

緊急連載 イチローのレガシー(1)

01年米球宴でナ・リーグファン投票1位のボンズ(左)と共に表彰されたイチロー
Photo By 共同

 イチローは日米合わせて28年間の現役生活にピリオドを打った。数々の偉業を打ち立ててきたが、背番号51が野球界に残した功績は、決して記録だけではない。「イチローのレガシー」と題し、全5回にわたり緊急連載する。

 01年、イチローのメジャーデビューは、全米に衝撃を与えた。その年、マリナーズの観客動員数は30球団トップの350万人。オールスターのファン投票でイチローは最多の337万票を集めた。今年の日本開幕戦で本塁打を放ったアスレチックスのピスコティは、当時10歳だったが、その年の熱狂ぶりをよく覚えているという。

 「僕はオークランド近くの出身で、アスレチックスのシーズンチケットを持っていた父は友人や親戚に分けていた。いつもはヤンキース戦が人気なのに、あの年はみんなイチローを見たくてマリナーズ戦が奪い合いになった。僕もあの独特の打撃フォームやライトからの強肩を見ていて本当にワクワクした」

 なぜ、野球の母国・米国のファンがあれほどイチローに魅了されたのか?全米で大ヒットしたドキュメンタリー番組「ベースボール」(94年)の続編として、10年に「10THイニング」が放送された。95年から15年間の象徴的な出来事として、イチローが登場する。制作した米国を代表するドキュメンタリー作家のケン・バーンズ氏はかつてこう話した。

 「この時代はステロイド(筋肉増強剤)スキャンダルがあった。多くの選手が筋肉を大きくし、パワーをつけようと躍起になっていた時代に、技術とスピードで勝負するイチローが現れた。こういう時代だからこそ、イチローをしっかり取り上げたいと思った」

 番組で使用されたイチローの映像は、レッドソックスのエース、ペドロ・マルティネスから放った安打。ゴルフのチップショットのように投手の頭上を越えて、遊撃手の前に落ちる内野安打だった。

 マーク・マグワイア、サミー・ソーサ、バリー・ボンズが次々に本塁打の記録を塗り替えた時代だが、野球はパワーが全てではないことを示した。01年、イチローは史上初めて、MVP、新人王、首位打者、盗塁王、ゴールドグラブ賞、シルバースラッガー賞、オールスターゲーム先発出場の栄誉を全て手にした。(特別取材班)

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