【歴代番記者が語るイチロー】控え続く“屈辱”嘆かず糧に 天上人から気さくな兄ちゃんに

[ 2019年3月23日 08:30 ]

イチロー引退

2016年8月、ロッキーズ戦の7回1死、右越え三塁打で史上30人目のメジャー通算3000安打を達成し、ゴードンと抱き合って喜ぶマーリンズのイチロー
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 【笹田 幸嗣】「自分からユニホームを脱ぐことはない」。常にそう話してきた男がついにバットを置いた。積み重ねてきた孤高の数字を支えてきたのは、人一倍強い負けず嫌いの性格と誇り高きプライドだ。たとえ誰に何を言われようと、自分が愛する野球のために多くの犠牲を払ってきた。「24時間、野球のために時間を使っていますから」。イチローを語る上でこれ以上の言葉はない。

 そのイチローに変化が生まれだしたのは12年途中にヤンキースに移籍してから。実績に関係なく、控え外野手として扱われる日々。左腕を打ち込んだシーズンでも、相手先発が左腕となれば何の説明もなくベンチに座らされた。当時のジョー・ジラルディ監督から受けた屈辱は数え切れなかった。マーリンズ時代の16年には人生で初めて「代打の代打」を送られた。

 だが、イチローがこれらの屈辱を嘆くことは一度もなかった。逆に糧へと変わった。野球は自分のためのものから、支えてくれるファンのものへ。人の痛みを知るようになったイチローは、年齢も重ねたためか、ちょっぴり涙もろくなった。天上人から気さくな兄ちゃんへ。そんなイチローが好きになった。

 敬意を払い続けたマリナーズに対し、イチローの心は決まっていた。「自分の思いだけで野球は続けられない」。最後は自らの意思で現役を退いた。(12、18~19年マリナーズ、12~14年ヤンキース、15~17年マーリンズ担当)

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