張さん「大あっぱれ!」 世界驚かせた「打の奥義」、次世代に伝える「伝道師」に

[ 2019年3月23日 06:05 ]

イチロー引退

2009年、シアトル滞在中のスポニチ本紙評論家の張本氏(左)と談笑するイチロー。日米通算3086安打を張本氏の前で達成した
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 その輝かしいキャリアに、大あっぱれ!日本歴代最多の3085安打の記録を持つ張本勲氏(78=スポニチ本紙評論家)が、現役引退を表明したイチローの野球人生をねぎらった。そして今後は、1球団の監督ではなく、プロ12球団全ての巡回コーチに――。世界を驚かせ続けた技術を次世代に伝える「伝道師」になってほしいと願った。

 日本で、米国で。本当に長い旅路だったと思う。前日の試合はテレビで見た。生まれ故郷の日本で勇姿を見せてくれてうれしかった。世界に誇れる打者は王(貞治)とイチローの2人だけ。この先1世紀はこういう選手は出てこないだろう。本当によくやった。「大あっぱれ」ですよ。

 「ハリ、どうや?」。当時のオリックス・仰木彬監督に言われた言葉を今でも覚えている。イチローがブレークする直前の94年。新幹線で偶然会った時に「ちょっと見てほしい選手がいるんや」と言われた。それがイチロー。足を運んでみて驚いた。どのコースにも最短距離でバットが出てくる鋭い打撃。こんな選手がいるのか、と思った。自分が持つ3085安打の日本記録を抜くとしたら、あるいは…。そんな予感は現実になった。

 09年4月16日、エンゼルス戦でイチローが日米通算3086安打を放った瞬間をシアトルで見届けた。「張本さんのいる前で、っていうことが一番重要だった」。彼はそうも言ってくれた。一生の思い出になった。

 優れた動体視力。それがイチローの打撃を支えていた。彼は打席の中で重心移動とともに前に動きながら、動くボールを捕まえにいく。これは一番難しい、不利な打ち方。少しでも長く、投手が投げたボールを見ようとするのが普通の打者の感覚だ。あの打法で歴史的な数字を積み上げた。驚異と言っていい。

 45歳。記者会見では「後悔なんてあろうはずがありません」との言葉が印象に残ったが、まさにその通りだと思う。私は41歳、王(ワン)ちゃんは40歳の時に現役を引退した。伝説を残し、使命を全うした野球人生。ただ、イチローにはまだまだ果たすべき役割が残っていると思う。

 私は、監督はやってもらいたくないと思っている。一つの球団に縛られる器ではない。例えばセ、パ12球団全ての巡回コーチとなり、キャンプ地を全て回って打撃の奥義を伝授する――。これはイチローだからこその特権だ。野球界全体への伝道師。これこそがイチローの次なる使命ではないだろうか。

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