鎌田美礼女流2級 ド緊張デビュー 現役最年少13歳女流棋士「人に見られて恥ずかしくない将棋を」

[ 2022年5月29日 05:00 ]

日本将棋連盟の現役最年少の女流棋士としてプロデビュー戦を行った鎌田美礼女流2級
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 今月1日付で将棋の現役最年少女流棋士となった中学2年生の鎌田美礼女流2級(13)が28日、東京・千駄ケ谷の将棋会館で行われた第16期マイナビ女子オープン予備予選でプロデビュー戦に臨んだ。中倉宏美女流二段(43)に109手で敗れ、ほろ苦いスタートとなった。

 セーラー服姿で対局室に姿を現した鎌田女流2級。開始直前は座布団を触ったりと、やや緊張している様子。振り駒の結果後手となり、中倉の初手7六歩に対し、サウスポーの鎌田は白く透き通った左手でスッと8四歩と応じた。

 約1時間30分で対局を終えると「緊張しすぎていろいろなことを見落としてしまった」とガックリ。「途中までは楽しく指せていたが、形勢が変わってからは早く終わってほしかった」と言葉少なに語った。

 アマチュア高段者だった父・敦胤(あつたね)さんからルールを教わり、6歳からハムスターのキャラクターと将棋を指せる「ハム将棋」で遊び始めた。小学2年の頃には地元・茨城県内の将棋道場で負け知らずになり、千葉県柏市の柏将棋センターの門を叩いた。そこで師匠の石田和雄九段(75)と出会い、小学4年だった2018年に女流棋士の養成機関「研修会」に入会した。

 しかし小学6年の時に病気で母・麗子さんが死去。研修会では女流棋士入り条件の1つ手前に当たる「C1クラス」に上がっており、麗子さんも「あと一歩だね」と楽しみにしていた直後の出来事だった。ショックで何も手に付かなくなり、約半年間研修会を休んだ。それでも麗子さんの願いをかなえるために奮起し、今月1日付で女流棋士になった。

 それまでの現役最年少は岩佐美帆子女流2級(16)。日本将棋連盟によると、女流棋士の最年少デビュー記録は藤田綾女流二段(35)の11歳6カ月という。

 初陣白星はならなかったが、初対局の感想を求められ「座布団がふかふかでした」と屈託のない笑みを浮かべた鎌田女流2級。「次からは緊張せずに指せると思う。まずは人に見られて恥ずかしくない将棋を指したい」と今後の奮闘を誓った。

 ◆鎌田 美礼(かまだ・みれい)2008年(平20)6月24日生まれ、茨城県出身の13歳。小学2年生で小学生駒姫名人戦一般戦クラスで3位。5年生の時に小学生女子将棋名人戦で関東大会優勝、全国大会で3位に入った。研修会に入る以前はキッズモデルとしても活躍。趣味はスマートフォンの音楽ゲーム「プロジェクトセカイ」で、休日は4時間以上やることもある。

 ▽女流棋士 女性のみで構成されたプロ制度で、女流2級からスタート。養成機関「研修会」に入会し「B2クラス」に昇級(資格取得時点で満27歳未満の女性)、もしくはアマチュアとして該当の女流棋戦に出場し規定の成績を獲得することで資格を得ることができる。女流棋士の資格を持った人は、今年4月時点で70人以上。一方、棋士養成機関「奨励会」を通じて資格を得るプロ棋士は、男女の区別はないものの現在は男性しか在籍していない。

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