トミー・ジョン手術の権威・古島医師が診断分析 制球悪く力んで筋肉に疲労生み…軽度なら打者は問題なし

[ 2020年8月5日 02:30 ]

古島医師
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 エンゼルスは3日(日本時間4日)、大谷翔平投手(26)が右肘付近の屈筋回内筋痛と診断されたと発表した。投球再開まで4~6週間を要する見込み。今季中の投手復帰は厳しくなった。また、じん帯再建手術(通称トミー・ジョン手術)の日本の権威である慶友整形外科病院の古島弘三医師(50)は、今回の診断に際して見解を示した。

 グレード1~2ということであれば、(筋肉の)ひどい断裂とまではいきません。ただ、シーズンが残り8週間しかないとなると残りの期間での完全復帰は難しいかもしれないです。3、4週間の安静ののち、少しずつペースを上げていく形を取ることになりますので。基本的には安静にすれば治るものですが、(故障は)何かが悪いから起こっているので、悪い部分をこの期間に治さないと、また同じことが起きてしまいます。

 スライダーをたくさん投げる投手が屈曲回内筋群(今回の部位)を痛めやすい傾向があります。動画を少し見ただけですが、全身をうまく使えていないという印象は受けました。

 コントロールが悪かったことで、力みにつながり、変化球でも力が入っていたように見えました。スライダー系の球種はもともと前腕の屈曲回内筋群に負担が強くかかります。手首や手指に力が入りすぎ、小手先で投げてしまうような投げ方になると肘内側側副靭帯をカバーしている屈曲回内筋群が疲労し損傷へと進展してしまうことになります。

 打者としての影響はないわけではありません。たくさんバットを振りすぎれば負担はあります。特に薬指や小指に力が入りすぎると損傷程度にもよりますが、強くグリップすることで今回痛めた部位には負担はかかります。ですが、大谷選手がそう無理するとは思いませんので、損傷が軽ければ打者としては今後も問題はなくやれると思います。(慶友整形外科病院整形外科部長、慶友スポーツ医学センター長)

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