“4元号出場”広島商、あと1点…最終回絶好機も願い届かず 夏31年ぶり白星ならず

[ 2019年8月11日 05:30 ]

第101回全国高校野球選手権大会 第5日2回戦   広島商5―6岡山学芸館 ( 2019年8月10日    甲子園 )

<岡山学芸館・広島商>8回2死一、三塁、岩端(左)に逆転の2点適時二塁打を浴びる広島商・中岡(撮影・北條 貴史)
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 15年ぶり23度目出場の広島商は、2回戦で岡山学芸館と対戦し惜敗。夏は優勝した1988年以来、31年ぶりの勝利を手にできなかったが、大正、昭和、平成、令和と4元号での出場を果たし、伝統の力を随所に見せつけた。

 逆転への願いは届かなかった。5―6の9回2死一、二塁、代打川口が一邪飛に倒れると、全力で戦ったナインは一様に天を仰いだ。重く、重くのしかかった1点差。「仲間ともっと戦いたかった。みんなと野球がしたかった」と話す主将の真鍋の目からは止めどなく涙があふれた。

 攻守で「広商野球」を体現した。0―1の2回無死、真鍋が中前打で出塁すると犠打、中前打で一、三塁。7番・杉山が二塁前に同点のセーフティースクイズを決めた。6回には無死一、三塁から水岡の中前適時打、真鍋の左犠飛で2点を追加した。

 遊撃手の水岡は守備でも輝いた。4―1の6回2死一、三塁での右前打で、右翼手からの三塁送球のカットに入ると、一転、一塁ベースをオーバーランした打者走者をアウトにして失点を最小限に食い止めた。「次のプレーを常に考えてやる。普段の練習から、やっていることができた」と胸を張った。

 過去6度の優勝を誇る名門も04年以来15年ぶりの出場とあって三塁側スタンドは多くのOB、関係者や生徒、一般ファンで埋まった。応援バス37台は早朝に広島を出発。大会前にはプロで活躍する柳田(ソフトバンク)からバット10本、135人の部員全員分のTシャツが、岩本(広島)からも全員分のタオルが差し入れられた。73年夏の優勝メンバーの元広島監督・達川光男氏(64)からは臨時コーチとして指導を受けた。真鍋は「応援は心強かった」と振り返る。だからこそ「そういう人たちの期待に応えられなかったのが悔しい」と唇をかんだ。

 大正から4元号すべての出場となったが、平成時代に夏の勝利はなし。昭和最後の王者が新たなスタートを切るため、令和元年に戻ってきたが白星はお預けとなった。荒谷忠勝監督(43)は力を込める。

 「彼らが頑張って、15年出ていないところの扉を開けてくれた。出る素晴らしさも怖さも勉強した。持ち帰って新チームで頑張りたい。広商は、本当にこれからだと思います」

 全力で戦った2時間26分は、新たな伝統の礎となる。

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2019年8月11日のニュース