【惟任貴信 研球】直球キラーの阪神・近本は日本屈指の本格派打者

[ 2019年8月11日 08:30 ]

セ・リーグ   阪神6-5広島 ( 2019年8月10日    京セラD )

2回、2死一、三塁、近本が右前適時打を放つ(撮影・成瀬 徹) 
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 阪神・大山の逆転サヨナラ3ランに、しびれた夜。そこまでの過程では、近本の毎打席に胸を躍らせていた。岡田彰布に別当薫……。新人年の安打数で球団の大先輩たちの記録を次々と抜き去り、58年に長島茂雄が記録した153安打の新人最多安打記録更新も視界にとらえて、安打を量産中。この日の1安打で通算119安打とし、53年の吉田義男に肩を並べた。そんな彼の打撃スタイルには以前から、あるイメージを持っていた。直球を力強く打ち返す印象だ。

 昨季から甲子園球場にもトラックマンが導入された。投手の投球回転数や打者の打球速度などが網羅できる文明の利器なのだが、その数値は“社外秘”だ。そこで近本の「直球への強さ」を自分のできる範囲で調べてみた。すると、この日までの全119安打のうち50・4%を占める60本が、直球を打ち返した安打であったことが判明した。

 その数字を球界屈指の好打者たちと比べても近本の「直球キラー」ぶりは明らかだ。たとえば広島の主砲・鈴木誠也が全安打のうち直球を打った割合は近本と同じ50・4%(123本中62本)。巨人・丸佳浩は49・2%(120本中59本)で、15年にシーズン最多記録215安打を放った西武・秋山翔吾は目下42・2%(128本中54本)。目下、両リーグトップの130安打を放っている楽天・茂木栄五郎も41・5%の54本だった。タイプを問わず好打者は直球に強いのだが、近本は、その面々に劣らないどころか、しのぐ数字を残している。すでに球界屈指の「直球キラー」だ。

 この結果を見て、キャップとして3年間、担当した金本知憲前監督が、監督就任当初から掲げていたテーマの一つを思い出した。それは直球に強い打者の育成だ。現役通算2539安打、476本塁打、1521打点を記録した「鉄人」も直球を打ち砕くことを打者の「原点」に挙げ、その育成に心血を注いでいた。前指揮官が求めた理想像に近い打者こそ、近本だったと言えるわけだ。

 直球主体の投手を「本格派投手」と言う。それなら直球に強い近本は、さしずめ「本格派打者」といったところか。そう言えば、この夜、大山が放ったサヨナラ弾もフランスアの147キロ直球を打ち砕いた一撃だった。やはり直球勝負を打ち勝つ豪快な打撃は、見ていてすがすがしく、胸がすく。(数字は10日時点。本稿データは共同通信デジタル「翼」参照)

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