高岡早紀 50歳のバースデーライブ 「来年はまた新しいことに挑戦」

[ 2022年12月15日 07:14 ]

ゲストのファッションデザイナー・山本耀司氏と共演する高岡早紀(Photo by Sumito Takemoto)※提供写真
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 【牧 元一の孤人焦点】歌手で俳優の高岡早紀(50)が14日、東京・丸の内のコットンクラブで、恒例のバースデーライブを行った。

 1曲目「Ni-ya-oo」を妖艶に歌い終えると「別に50歳がなんだって感じなんですけど」と軽やかにあいさつ。ヒデとロザンナの「白い波」のカバーや「野蛮な憂鬱」「私の彼氏は200歳」など13曲を75分にわたって披露した。

 この日は2回公演。2回目にはファッションデザイナーの山本耀司氏がゲストとして登場し、「太陽はひとりぼっち」で共演した。

 今月3日が50回目の誕生日。ライブの開演を前にインタビューに応じた。

 「何年も前から年齢を重ねることに対して特別感がなくなってきています。30、40を経て、とうとう50まで来たんだなという感じはあるんですけど、人が思うほど強い思いがあるわけではありません。それは自分なりに、着実に、確実に年を重ねている感じがあって焦りがないからだと思います。充実しているからですね」

 今年はフジテレビの情話番組「ポップUP!」でコメンテーターに挑戦し、二人芝居「毛皮のヴィーナス」で膨大なセリフ量に挑むなど極めて多忙な日々を過ごした。

 「今年は加速してしまった感じがあります。きつかったです。いちばんは舞台で、これまでの女優人生の中でもかなり記憶に残る作品に巡り合いました。とても大変でした。脳がパンクしそうでした。50に向けてということがあったかもしれないけれど、いろいろなことをやらせていただいて満載の年だったので、体力面を考えると、そろそろ自分のペースを見直さないといけないとは思っています」

 今年の自分を漢字一文字で表すと何か?しばらく考えた上で返した答えは、仕事で心身ともに追い込まれた年であったにもかかわらず、「遊」だった。

 「なんか浮遊しているみたいな感じ。これまでずっと、しっかりと地面を踏みしめて生きていこうと思って歩いてきたけれど、今年はいろんなことをやらせていただいて、また新しい自分が見えました。こうやって年齢を重ねてくると、地面を踏みしめて歩けることは分かったので、もうちょっと浮遊感があることをしていきたいと思っています。それでまたこれから10年生きていきましょうかね(笑)」

 このライブにも浮遊感はあった。例えば2曲目の「セザンヌ美術館」。1990年、まだ10代の時に発売した曲だ。安井かずみさん作詞、加藤和彦さん作曲で、♪くちべには つけないわ 素顔のままで会うの…と恋する少女の気持ちを歌う。

 「当時は、年齢的に、恋人と待ち合わせる時のピュアな感じが自分にもあって、きっとそうなんだろうな…と想像しながら歌っていました。今はそういうものを全て経て、当時の私の母親くらいの年齢になったわけで、その頃のピュアな感じを懐かしく思ったり、かわいらしい少女を想像したりしながら、大人の女性として歌います。あの曲は加藤和彦さんが歌唱指導をしてくださって、その時の加藤さんの独特の息づかいが頭に残っています。加藤さんが教えてくださった歌唱法はどこかに残しておきたいので、それも大事にしながら歌います」

 会場のコットンクラブに合わせたアダルトなアレンジ。「大人の女性」も感じさせつつ、聞く人にピュアな少女の思いがまっすぐ届くような純な歌唱だった。

 アンコールの最後の曲は松任谷由実の「恋人がサンタクロース」のカバー。楽しげに歌い終えると、客席に向かって弾んだ声で「来年はまた新しいことに挑戦しようと思っていますので、ぜひぜひ、楽しみに待っていてください」と語りかけた。

 50代を迎えて見直そうとする仕事のペースが落ちることはないかもしれない。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局総合コンテンツ部専門委員。テレビやラジオ、映画、音楽などを担当。

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2022年12月15日のニュース