高岡早紀 ドラマで「癒やしパート」担う 「顔が柔和になって来たからでしょうか?」

[ 2022年12月8日 08:30 ]

ドラマ「我らがパラダイス」で、さつき役を演じる高岡早紀(C)NHK
Photo By 提供写真

 【牧 元一の孤人焦点】俳優の高岡早紀(50)が来年1月8日にスタートするNHK・BSプレミアムのドラマ「我らがパラダイス」(日曜後10・00、全10回)に出演する。

 ドラマは作家の林真理子さんの小説が原作。富裕層の老人たちが住む高級施設を舞台に、そこで働く女性たちが大胆な計画を実行に移す物語。主演は看護師長・朝子役の木村佳乃。高岡は、同居する親の世話をしながら施設の厨房で働くさつき役を演じる。

 高岡は「私がちょっとした癒やしパートのようになっています。さつきは高級施設で暮らす富裕層の人たちと接する役なんですが、共演する諸先輩の方々が本当にその施設に遊びに来ているかのように楽しそうにそこにいてくださって、ほのぼのと撮影が進んでいます。シリアスな話ではあるんですが、ファンタジー要素が強く、見やすい作品になっていると思います」と話す。

 高岡と言えば、これまでのイメージは「魔性の女」。近年もドラマ「リカ」シリーズでエキセントリックな役柄を演じただけに今作で「癒やしパート」を担うことに振り幅の大きさを感じる。

 「顔が柔和になって来たからでしょうか?(笑)以前はキリキリした怖い役が多かったです。その時代は私自身も『気軽に話しかけないで!』というオーラを出していたんだと思います。大人になって、情報番組にも出るようになって、ユニークで明るい役の方が合うようになって来たのかもしれません。最近はちょっとコメディエンヌ的要素が強い役が多くなっている感じがします」

 今年は夏に東京・三軒茶屋シアタートラムで俳優・溝端淳平との二人芝居「毛皮のヴィーナス」に挑んだ。この舞台で演じた「女優・ヴァンダ」は今から150年以上前の海外の物語を劇中劇で演じる難役で、しかもセリフ量が膨大だった。

 「思った以上にセリフ量が多くて、覚えられないと思って、止めようかな…と弱気になった時期もありました。私は、仕事を決める時に早めに返事をして、後で大変なことに気づくというのがいつものパターンなんです(笑)。ドラマでも撮影日に向けて徐々に作り込んでいくタイプなんですけど、今回もいつも通り、稽古の始まりから終わりに向けて徐々に構築していくやり方をして、なんとか本番までに間に合わせることができました。とても大変なお芝居だったので、もうちょっと先だったら体力的にきつかっただろうし、若かったら理解するのが難しくて演じられなかったかもしれません。この年齢で、これまでにない面白い役に巡り合えて良かったと思います」

 その言葉通り、面白い舞台だった。ヴァンダは高岡が演じているとは思えない様相で登場する。ところが、物語が進むにつれ、その口から発せられるセリフが台本上の言葉ではなく高岡自身の言葉のように感じられるようになる。全く異なる人物の高岡とヴァンダがいつの間にか一体化したかのような不思議な感覚を得る芝居だった。

 「予備知識がないまま来た私の知り合いも、ヴァンダを最初に見た時に『もう一人女優さんが出るんだ?』と思ったらしいです(笑)。でも、どんな役を演じるにしても、結局、自分が持っているものを使うことになります。自分の体だけではなく、中身も使って演じるんです。千秋楽は、やり切れないことを逃げずにやり切ったという感覚がありました。貴重な体験でした」

 そんな充実感を抱いて臨んだのがドラマ「我らがパラダイス」の現場だった。演出の平山秀幸氏は映画「愛を乞うひと」「OUT」などを手がけた監督で、旧知の間柄だ。

 「『ぜひ、さつきを演じてほしい』とオファーをいただきました。さつきは、おおらかで心の広い女性なので、私そのものですよね!?(笑)監督とは初めて仕事をご一緒しますけど、私が『バタアシ金魚』(1990年公開の映画)に出た頃にお会いしたことがあるんです。監督デビューと私のデビューの時期が近いので『映画界から出てきた僕ら』と親近感を持ってもらっているようです。現場ではあまり監督からオーダーはなくて『そんな感じでいいです』みたいな雰囲気で、ニコニコして私のお芝居を見てくれています」

 共演する木村佳乃、堀内敬子とは年齢が近いこともあり、撮影の合間には親しく話しているという。

 「ずっと主婦同士の会話をしています。子供の話や朝食、お弁当、夕飯の話…。とても平和です。私は仕事がない時、一番下の娘が学校の行事や習い事で家にいないと本当に暇で困るんです。仕事があって、子供がいて良かったと思います。仕事もプライベートも忙しくやって来られたからこそ、こんなにニコニコ、ヘラヘラしていられるんだと思います。考えてみると、既に25年も子育てをしているんですけど、まだ一番下の娘は12歳なので、あと5、6年は子育てをします(笑)」

 今月14日には東京・丸の内のコットンクラブで恒例のバースデーライブを開く。歌手としての活動も順調だ。

 公私ともに充実した姿がきっと良い形でドラマの映像に現れるだろう。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局総合コンテンツ部専門委員。テレビやラジオ、映画、音楽などを担当。

続きを表示

2022年12月8日のニュース