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藤井棋聖 タイ勝「自信ない展開」から大逆転、飛車差し出すギャンブル奏功

[ 2022年6月16日 05:10 ]

第2局で永瀬王座(右)に勝利し、対局を振り返る藤井棋聖
Photo By 代表撮影

 将棋の第93期棋聖戦5番勝負は15日、新潟市西蒲区の「高志の宿 高島屋」で第2局を行い、3連覇を狙う後手の藤井聡太棋聖(19)=王将、竜王、王位、叡王含む5冠=が挑戦者・永瀬拓矢王座(29)を138手で下し、シリーズ成績を1勝1敗のタイとした。終局は午後7時21分。

 時にウグイスの風流なさえずりがBGMとなり、硫黄の臭いが鼻孔をくすぐる岩室の温泉街。のどかな空気とは裏腹に、藤井の心中は荒波にさらされていた。

 跳ねた桂馬が斜めに傾き、取った桂馬は畳に落とす。「思わしい攻め方が分からず、基本的に自信のない展開になってしまった」。慌てふためくまま迎えた最終盤。「なんとか勝負をかけよう」と、最後に残った大駒の飛車を相手に差し出す大ギャンブルに出る。冷静に受けられれば傷口がさらに広がってしまう。が、藤井の醸し出す気迫にのまれた永瀬がその誘いに乗った。あっという間に攻守逆転。あわよくば上部脱出と、逃げ道の広い相手王を一瞬にして封鎖する銀の犠打を放った覚醒の一撃で、勝運は藤井に傾いた。

 3日の第1局は異例となる2度の千日手指し直しの末、永瀬の勝利。藤井はタイトル戦の連勝を13で止められ、対永瀬3連敗(7勝)を喫した。体力勝負に持ち込まれ、ズルズルと形勢を損ねる展開からは藤井らしさが皆無だった。しかしこの日は意趣返しのように相手を無意識のうちに消耗させていた。おそるべき終盤の勝負勘。

 第3局は7月4日に千葉県木更津市で行われる。「ここまで2局、内容的に押されていた。(第3局は)内容を良くして戦えるようにしたい」と、素直な反省も口にした藤井。その前には第63期王位戦7番勝負開幕局(6月28、29日=愛知県犬山市)で、昨年名勝負を繰り広げた豊島将之九段(32)と対戦しなければならない。いよいよダブルタイトル戦の胸突き八丁がスタートする。

 《永瀬、今年度8局目で初黒星》今年度は無傷の7連勝と好調を維持していた永瀬だが、8局目にしてついに初黒星。終盤は一歩抜け出す寸前まで巧妙な指し回しを見せながら、一瞬の緩手で全てを失い「ペースは握ったと思ったが、形勢は分からないまま指していた」と無念の心境を明かした。第3局に向けては「終盤の悪いところを良くして臨みたい」と話した。

 《午後のおやつはドリンク尽くし》この日のランチでは藤井がにぎり寿司を、永瀬がうな重に加え、カップケーキの「プランタン」を注文。午前10時のおやつは藤井が「プランタン」にアイスコーヒー、永瀬はアイスコーヒーと冷たい抹茶。午後は藤井がアールグレイアイスティーとオレンジジュースのダブルドリンク作戦を採用すると、永瀬は抹茶、冷たい抹茶、アイスコーヒーのトリプルドリンク戦法を選択。ともに固形物は注文しなかった。

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