前エ軍カストロが教えてくれた大谷の勘違い いつかまたバッテリーを

[ 2020年9月27日 09:00 ]

エンゼルス時代のカストロ(撮影・柳原 直之)
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 メジャーリーグは間もなくレギュラーシーズンが終了するが、書きそびれたエピソードを紹介したい。今年2月、エンゼルスのバッテリーキャンプ初日。ツインズから加入したばかりの捕手カストロが大谷との微笑ましいやり取りを教えてくれた。

 「キャンプ最初のバッテリーミーティングで彼が私に謝ってきたんだ。“昨季、スライディングであなたの足をケガをさせてしまった。ごめんなさい”と。不思議に思ったので“それは僕ではないよ。大丈夫だよ”と言ってあげたんだ」

 大谷が謝罪した出来事は2019年5月14日、ミネアポリスで行われたツインズ戦でのことだ。1点を追う8回2死一、二塁。二塁走者の大谷は打者の中前打で本塁へ突入し、強烈なスライディングで捕手を吹っ飛ばした。その捕手は大谷をアウトにしたが、左足をひねって負傷者リスト(IL)入り。大谷はホームベースをめがけてスライディングしたが、相手を負傷させてしまったことに心を痛めたのだろう。

 ただ、負傷した捕手はカストロではなくガーバーだった。カストロがマスクを被っていたのはその前日の13日、大谷がシーズン1号2ランを打った試合だ。まさかの“勘違い”にカストロは「なぜ謝られているのか最初は分からなかったよ」と笑い飛ばしたが、大谷の心遣いをとても喜んでいた。

 この話を明かしてくれたバッテリーキャンプ初日、カストロは大谷について「彼は健康であればメジャーリーグでも最高の才能をもっている。一緒に仕事ができることに間違いなく興奮している。彼と少し話をして、マウンドでやりたいことや考え方が少し分かるようになった」とも語っていた。打撃はもちろんのこと「投手・大谷」にも完全にほれ込んでいる様子だった。

 そして、2020年7月26日、開幕3戦目の本拠地アスレチックス戦。693日ぶりの公式戦登板を果たした大谷とバッテリーを組んだのがこのカストロだった。しかし、結果は1死も取れず5失点KO。続く8月3日、2度目の登板で女房役を務めたのはスタッシだった。その後「右肘付近の屈筋回内筋痛」と診断され、今季中の投手復帰が消滅。大谷だけでなく、カストロも歯がゆい思いをした一人だった。

 カストロは今季、スタッシらと併用で捕手を任されたが、開幕・アスレチックス戦で終盤に起死回生の同点弾を放つなどパンチ力のある打撃でチームに度々貢献していた。だが、トレード期限が迫った8月30日、パドレスへの移籍が決定。来季に舵を切りつつあったエンゼルスと2006年以来14年ぶりのポストシーズン進出を狙ったパドレスのニーズが一致したトレードとはいえ、カストロ本人があれだけ楽しみにしていた大谷とのバッテリーがたった1回きりで終わってしまったことは残念でもあった。

 コロナ禍の現在は考えられないが、これまで報道陣は試合前後にチームのクラブハウスに入ることが当たり前。カストロは報道陣が取材をお願いすると、いつも席を立ち上がり、両手を後ろに組んで、こちらが恐縮するほど丁寧に答えてくれるナイスガイだった。

 今回のトレード劇のようにメジャーリーグは日本のプロ野球よりはるかに移籍が多く、移籍自体もポジティブに受け止められるケースが多い。33歳のカストロがポストシーズン進出を決めたパドレスでもう一花、咲かせることを切に願う。そして、いつかまた巡り巡って大谷とのバッテリーが実現する日が来てほしいと、ひそかに夢見ている。(記者コラム・柳原 直之)

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