ダルビッシュ リーグトップタイの3勝目 7回途中まで無安打投球 全11種類の球種で幻惑

[ 2020年8月15日 02:30 ]

ナ・リーグ   カブス4―2ブルワーズ ( 2020年8月13日    シカゴ )

3勝目を挙げたダルビッシュ(AP)
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 カブスのダルビッシュ有投手(33)が13日(日本時間14日)本拠地ブルワーズ戦に先発し、7回1安打1失点、11奪三振でリーグトップタイの今季3勝目。7回1死にソロ本塁打を浴びるまで無安打の快投劇を演じた。今季好調の要因に挙げるナックルカーブを有効に使うなど全11種類の多彩な球種で相手打者を幻惑。ここ数年の低迷期を乗り越え、日本が誇る剛腕が再び「無双状態」を迎えている。

  観客がいたら異様な雰囲気となっていただろう。4点リードの7回1死。98球目だった。それまで無安打投球のダルビッシュがスモークにカーブをミートされた。「“音的”に詰まったと思ったけど、ブルワーズのベンチが騒いでいたのでいったかなと思った」。打球は右翼席に達した。

 大記録目前でも冷静だった。6回まで92球。7回のマウンドに向かう際も「完投するわけがないと分かっていた。“別に関係なくね?”と思っていた」という。被弾後も「次の打者をしっかり抑えよう」と後続を斬って7回1安打1失点、11奪三振でリーグトップタイの3勝目。前日にツインズ・前田が同じ打線を7回途中2失点に抑えたことに触れ「それより良くないと前田に何を言われるか分からない」と笑わせた。

 カブスに移籍して過去2年は計7勝も3年目で初の自身3連勝。好調の要因は昨夏から本格的に投げ始め、7月下旬から早いカウントで使うようになったナックルカーブだ。特に球速が近くて軌道が異なるカットボールとのコンビネーションが抜群で「カットボールが抜けても空振りしてくれる。打者を迷わすことができている」と分析する。象徴的だったのは6回。先頭ソガードに早めに使い、最後は高めのカットボールで空振り三振に斬った。

 今季からはスプリットとツーシームの間の変化をする新球「スプリーム」も加わり、メジャー屈指の11球種。全米中継で解説を務めた通算213勝のジョン・スモルツ氏も「ダルビッシュほどボールをスピンさせるのにたけた投手はいない」と変化球を絶賛した。

 ダルビッシュは過去2度、無安打投球中の9回2死から安打を浴び、ファンを盛り上げた。この日は無観客だったが16日(日本時間17日)の34歳の誕生日を前に終盤まで大記録を予感させる快投。好調を維持すれば、近いうちに「未遂」ではなく「完遂」する姿が見られるかもしれない。 (奥田秀樹通信員)

 ◆ダルビッシュの11種類の球種
(1)直球 最速99マイル(約159キロ)。平均95マイル(約153キロ)
(2)ツーシーム 直球とほぼ同じ球速。左打者へのフロントドアに使用
(3)スプリーム スプリットとツーシームの間の変化。今季の新球種
(4)スプリット 変化の方向や幅が不安定で「何球種にもなっている感じ」
(5)スライダー 最多277奪三振の13年に最も頼りにした球種
(6)高速カットボール 90マイル(約145キロ)を超え、直球と併せて使う
(7)カットボール 現在の“軸球”。85マイル(約137キロ)前後で制球自信
(8)チェンジアップ 過去に何度も試行錯誤。理想は85マイル(約137キロ)前後
(9)ナックルカーブ 19年8月に復活。80マイル(約129キロ)台前半で鋭く落ちる
(10)カーブ 70マイル(約113キロ)台前半。打者の目線を変える
(11)スローカーブ 60マイル(約97キロ)台。14年球宴で披露しファン沸かす

 《マー君&マエケンは「6」》ダルビッシュの球種の多さは他投手と比べても群を抜いている。ヤンキース・田中、ツインズ・前田、ブルージェイズ・山口は主に6球種。エンゼルス・大谷はスライダー、スプリットを軸に4種類でツーシームやカットボールなど小さい変化の球種は投げない。

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