稲見が銀メダルの快挙 背景に日本ゴルフ協会の強化策 ナショナルチーム・ジョーンズHCの存在

[ 2021年8月7日 20:48 ]

ガレス・ジョーンズ氏(日本ゴルフ協会提供)
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 東京五輪ゴルフ女子で稲見萌寧(22=都築電気)が銀メダルを獲得した。日本ゴルフ協会(JGA)が約6年をかけて取り組んできた選手強化プログラムの成果が表れた。

 14年に長野・軽井沢で開催された世界アマチュア選手権で日本は個人、団体とも惨敗した。15年、JGAは東京五輪でのメダル獲得を目標に掲げて、新たな選手強化プログラムに着手した。
 そのキーマンがナショナルチームのヘッドコーチとして招かれたガレス・ジョーンズ氏だ。英国出身でオーストラリアのナショナルチームなどで指導歴のあるジョーンズ氏は、選手にコースマネジメント、ショートゲームの重要性を説いた。

 練習ラウンドでは、打って良い場所「インポジション」、真っ直ぐの上りパットを打てるライン「ゼロライン」がどこにあるのかなどコースの詳細な情報をヤーデージブックに書き込むよう教えた。こうした改革が選手のレベルアップ、国際試合での好成績につながった。

 稲見は16年にナショナルチーム入りした。ジョーンズ氏は「ショットが得意でフェアウエー、グリーンを確実に捉えて多くのチャンスを築いていた」と当時を振り返り、稲見のヤーデージブックの使い方については「グリーンの傾斜、ゼロライン、インポジションの場所、風向き、ターゲットエリアなどをメモしていた」と話した。

 稲見はパットを打つ前、ラインをまたいで立ち、指を立ててカップを見る。足の裏で傾斜を感じ、その感覚を生かし打つ方向を決めるラインの読み方「エイムポイント」だ。
 この方法を伝授したのもジョーンズ氏。「今でもこのグリーン・リーディング・システムを使っているのはうれしい」と話した。

 ジョーンズ氏は「萌寧は国際的な大舞台の経験が少ないためメダルの期待は少なかったと思う。でも彼女は今年5回も優勝した実績もあるチャンピオンだ。この結果は彼女の高い技術力を反映したものだ。そして自国開催の五輪で、世界レベルの選手であることを証明した」と快挙を成し遂げた愛弟子に賛辞を贈った。

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