新体操「ど根性娘」鈴木の高難度の技を堪能せよ 田中琴乃さんが語るメダルへのキーパーソン

[ 2021年8月7日 05:30 ]

高難度の技を任された鈴木(左)
Photo By スポニチ

 新体操の団体総合予選は7日に行われ、日本代表「フェアリージャパン」が表彰台へのスタートを切る。ボール、フープ・クラブともに、息つく暇のない高難度プログラム。08年北京五輪に出場し、12年ロンドン五輪で主将を務めた田中琴乃さん(29)はミスの連鎖を防ぐことが重要とし、キーパーソンに鈴木歩佳(21=日体大)を挙げた。

 東京五輪の団体は、ボールとフープ・クラブの2種目の総合で争います。技の難易度を示すDスコアの上限が18年になくなったことで、たくさん難しいことを実施しています。まばたきせず、それぞれ2分30秒の演技を堪能してほしい、というのが本音ですね。

 技を入れれば入れるだけ点数につながるので、無駄な時間を省いたプログラムになっています。手具をキャッチした後に呼吸する時間も削っているくらいですから。技の終わりが次の技につながっていくので一番、注意したいのはミスの連鎖ですね。ミスが出た後、すぐに切り替えて次の技にトライしていくことが重要になります。

 Dスコアを上げれば上げるだけ、勝てるチャンスが広がると同時に、リスクも大きくなります。ロシア、ベラルーシ、ブルガリア、イタリア、日本が5強と呼ばれていますが、どの国がメダルを獲っても不思議ではありません。一方でミスを続けてしまえば、5強と言われる国でも、下位に沈んでしまう可能性が十分にあります。

 日本代表の中で鍵を握るのは、高難度の技を任されている鈴木歩佳選手ですね。器用なのはもちろんですが、「根性」ではなく「ど根性」と表現したくなる選手です。私は視野外で手具を取る時などは緊張していましたが、鈴木選手からは全くそういったものは感じられません。“やってやるぜ!”という自信がみなぎっているように見えます。

 東京五輪では「光と影」がテーマのメークにも注目してください。選手が輝く裏には汗と涙、努力に加え、家族やいろいろな方の支えがあります。光をイメージしたシルバーと、影をイメージしたカーキグレーを使い、目元に立体感が出るようにしています。また、目力をより強くするために、目頭と目尻には「金色(こんじき)ラメライナー」が入ります。これは選手たちの「金メダルを獲りたい」という思いが込められているんですよ。

 私は現役時代、観客の声援のおかげで、取れそうにない手具を取れた経験がありました。残念ながら東京五輪は無観客での演技となります。会場には観客の方々はいませんが、応援してくれる人は日本に、そして世界にたくさんいます。応援してくれている人の思いを胸に、全力で戦ってほしいと思っています。(12年ロンドン五輪主将)

 ◇田中 琴乃(たなか・ことの)1991年(平3)8月18日生まれ、大分県別府市出身の29歳。5歳から本格的に新体操を始め、中学3年時に全日本ジュニア選手権個人総合・団体優勝。同年日本代表に選出され、08年北京五輪で団体総合10位。主将を務めた12年ロンドンで団体総合7位。13年の現役引退後、14年にポーラ入社。現在はフェアリージャパンPOLA公式アンバサダー、日本体操協会のアスリート委員などを務める。

続きを表示

2021年8月7日のニュース