「天才」乙黒拓斗 師事する米満以来の金メダル 「毎日スパーリングして、尊敬しています」

[ 2021年8月7日 21:21 ]

東京五輪第15日 レスリング男子フリースタイル65キロ級 ( 2021年8月7日    幕張メッセ )

レスリング男子フリースタイル65キロ級で、金メダルを獲得した乙黒拓斗 (AP)
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 レスリング男子フリースタイル65キロ級の乙黒拓斗(22=自衛隊)が、決勝でハジ・アリエフ(アゼルバイジャン)を下し、金メダルを獲得した。日本男子勢としては2012年ロンドン五輪の男子フリースタイル66キロ級・米満達弘以来、2大会ぶりの金メダルとなった。

 表彰式を終えた直後の乙黒は「手元にあるのが信じられない。重いです」と、まだ金メダルに実感がない様子だった。ただ、米満以来の金メダルという話を振られると、「(自衛隊学校で)米満コーチとも毎日スパーリングして、尊敬しています。たくさんのことを学ばせて頂いているので、そんな尊敬している方や、また、高田先生だったり、同じ金メダルを獲れたことはすごくうれしいです」と喜んだ。

 幼少期から「天才」と言われた有望株だった。出身の山梨県を離れ、有望選手を寄宿制で育成する日本オリンピック委員会(JOC)のエリートアカデミーで高校6冠を獲得するなど成長。山梨学院大に進学すると、高田裕司監督や小幡邦彦コーチらの指導で実力に磨きをかけた。シニアの国際大会デビュー戦となった2018年4月のW杯では61キロ級の世界王者を撃破。さらに同年10月の世界選手権では19歳10カ月で優勝し、74年大会を制した高田裕司の20歳6カ月を抜く日本男子歴代最年少の世界王者誕生となった。五輪、世界選手権を通じて日本男子では初の10代金メダリストだったが、これで名実ともに男子レスリング界の「若きエース」に上り詰めた。

 試合終了直後に流した涙も消え、乙黒は「楽しかったです。開催されなければ、自分が手にすることはなかった。出るからにはベストを尽くすだけだったのでうれしいです」と、最後に笑みを浮かべていた。

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