スポクラ・野口 銅メダルで有終の涙 32歳ベテラン万感「最高の締めくくりになった」

[ 2021年8月7日 05:30 ]

東京五輪第15日 スポーツクライミング女子複合決勝 ( 2021年8月6日    青海アーバンスポーツパーク )

女子複合で3位となり、銅メダルを手に笑顔の野口啓代
Photo By 共同

 立ちはだかる壁を、野口はいくつ越えてきただろう。11歳。家族旅行で行ったグアムのゲームセンターで、クライミングに出合った。32歳。現役ラスト舞台で銅メダルを獲得し、万感の涙で瞳は濡れた。「最後の大会でメダルが獲れて、最高の締めくくりになった。金は獲れなかったけど、凄く良かった」

 得意のボルダリングで一つも課題をクリアできず、6位で最終種目のリードへ。「疲れて限界だったけど、気持ちでプッシュできた」。懸命に高度を稼ぎ、残る選手の結果を待った。ラストの韓国選手がリード1位ならメダルを逃していたが、首位に届かず。それは、神様からのささやかなプレゼントだった。

 五輪の1年延期でベテランは厳しい状況に追い込まれたが、不動の信念が支えた。「アスリートの限界は気持ちが決める」。心は折れず、前に進み、ゴールを迎えた。「最高の舞台だった。引退する時にこんなにいい舞台で登らせてもらえて光栄だった」。もう見ることはない表彰台からの絶景を、涙が乾いた瞳に焼き付けた。

 ◇野口 啓代(のぐち・あきよ)1989年(平元)5月30日生まれ、茨城県出身の32歳。ボルダリングはW杯通算21勝を挙げ、年間総合優勝を過去4度達成。19年世界選手権はボルダリングと複合で銀メダルを獲得した。茨城・東洋大牛久高出、TEAM au。1メートル65、52キロ。

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