希実 1500で8位入賞、女子中距離93年ぶり快挙 28年アムステルダム五輪の人見絹枝以来

[ 2021年8月7日 05:30 ]

東京五輪第15日 陸上 ( 2021年8月6日    国立競技場 )

女子1500メートル決勝で8位入賞を果たし日の丸を掲げる田中(撮影・会津 智海)
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 全てを出し尽くし、ゴール後は崩れ落ちた。スクリーンの8番目に自分の名前を確認した田中は、照れながら日の丸を掲げ「入賞で国旗は申し訳ないけど、新しいことができた自分へのご褒美」と素直に喜んだ。陸上女子トラック種目の入賞は96年アトランタ以来だが、中距離(800メートル、1500メートル)に限れば1928年アムステルダム五輪800メートル銀の人見絹枝以来、93年ぶりの快挙となった。

 序盤から集団前方に位置取り、6番手でラスト1周の鐘を聞いた。最後の直線で1人かわされたが、もう1人は粘って抑えた。準決勝に続き3分台を再びマーク。「甘くなかった」と世界の壁を痛感したが「決勝に行けただけで100点以上」の中で力を示した。

 同大進学時に陸上部に入らず、クラブチームに所属した。しかし、そのチームが空中分解。過去に同じ境遇で競技の道を閉ざされた選手もいたが、田中には救いの手を差し伸べてくれる人がいた。

 大学の陸上部は、温かくグラウンドを貸してくれた。同じ兵庫県小野市出身で、1500メートルの前日本記録保持者、小林祐梨子さんが、現所属先につないでくれた。いつも口にする感謝の思いを、最高の舞台で表現した。

 5000メートルは予選落ちしたが「1500メートルで勝負したいという気持ちと出合えた」と充実の表情。この日、3位に終わったオランダの中長距離の世界女王に引っ掛け「和製ハッサン」と呼ばれてきた21歳は、「世界の希実になれるように」と新たな目標を掲げた。

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2021年8月7日のニュース