田知本 人間的成長見えた 「勝ちたい」気持ちが前面に

[ 2016年8月11日 07:50 ]

メダルを首にかける田知本(AP)

リオデジャネイロ五輪・柔道女子70キロ級

(8月10日 カリオカアリーナ)
 【金野潤の目】ロンドン五輪を始め、世界選手権も経験してきた田知本だが、メダル獲得経験はなかった。だが、この日の出来は出色だった。その理由は、体も気持ちも前に出続けたということに尽きる。

 田知本の最大の武器は破壊力ある大外刈り。この技は前に出ていないと掛からない。さらに言えば、最も返される可能性の高い技でもあるため、思い切りが必要にもなる。この日はすべての大外刈りに躊躇(ちゅうちょ)がなかった。

 元来、技の破壊力は世界のライバルも知るところで、これまでは組ませてもらえないケースが多く、本人も組むことに苦労し、攻撃が遅くなることが多かった。だが、この日は持った瞬間には攻撃に入っており「勝ちたい」という気持ちが前面に出ていたと感じた。

 昨年の世界選手権代表から漏れ、苦しい時期もあったと思うが、それが人間的な成長を促したのだろう。素晴らしい内容と結果に拍手を贈りたい。(94、97年全日本選手権者、日大男子監督、文理学部准教授)

続きを表示

2016年8月11日のニュース