福原愛 わずか9点しか奪えず完敗「本当に凄いなと…」

[ 2016年8月11日 05:30 ]

準決勝で福原は李暁霞に圧倒されストレート負け

リオデジャネイロ五輪卓球・女子シングルス準決勝 福原愛0―4李暁霞

(8月10日 リオ中央体育館)
 女子のシングルス準決勝が10日に行われ、第6シードの福原愛(27=ANA)が前回覇者で第3シードの李(リ)暁(ギョウ)霞(カ)(28=中国)にストレート負けし、決勝進出を逃した。日本時間11日午前8時30分からの3位決定戦に進んだ。相手は3回戦で石川佳純(23=全農)を倒したキム・ソンイ(22=北朝鮮)。前日の男子準々決勝は水谷隼(27=ビーコン・ラボ)がマルコス・フレイタス(30=ポルトガル)に4―2で勝ち、男子個人初の4強入りを果たした。

 神懸かり的なストレート勝ちの進撃がついに止まった。それも、完膚なきまでに叩きのめされた。奪った得点は第1ゲームから4、3、1、1。4ゲーム合計9点。1ゲームを奪うのに必要な11点にも届かなかった。これが前回覇者・李暁霞の力、これが王国・中国の力なのか。4年に1度の舞台に向けて完璧に仕上げてきたのは、福原だけではなかった。

 「パワーだったり、回転だったり、全て上回っていて、今まで対戦した中で誰よりも重いボールを打たれた。本当に凄いなと思った」。

 悔しさと諦めが一緒になった複雑な表情で準決勝を振り返った。この試合まで通算1勝9敗。これまでのどの対戦よりも「もしかしたら一番強かったかもしれない」と、分厚い壁を感じた。

 競技史上初の表彰台となる団体銀メダルを獲得したロンドン五輪後の4年間は、苦しみの連続だった。大会直後に右肘を手術。14年は左足小指の疲労骨折で、東京での世界選手権団体戦を欠場した。女子代表の村上恭和監督はこの故障が長く続いた迷路の入り口だったとした。

 「長時間の練習が疲労骨折を招き、その結果、彼女の支えだった練習時間が少なくなった。その影響はずっと出た」。

 体だけでなく、精神的にも落ち込んだ4年だった。3年前の13年。レスリングの吉田沙保里らと“アスリート食事会”を開く機会があった。他のメンバーが恋バナで盛り上がる中、福原は一人、将来を案じていた。

 「年下の子たちがどんどん出てきて不安。沙保里さんも同じような状況だけど、どうやってメンタルを保っていますか」。

 恐れていたことは2年後に的中する。中学3年だった伊藤が五輪シングルス代表争いに割って入ってきた。だが、譲らなかった。今回の4度目の代表は、ささやかれた限界説をはね返して手に入れたもの。リオでは日の丸の重みを感じながらコートに立っていた。

 金メダルの夢はついえても、3位決定戦がある。まだ終戦ではない。日本卓球界初となる個人のメダルへ。元祖天才少女がシングルス最後の勝負に向かった。

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