永瀬、無念の銅 柳が鉄に変わって…「臆病になった」

[ 2016年8月11日 05:30 ]

3位決定戦でジョージアのチリキシビリを下した永瀬

リオデジャネイロ五輪柔道・男子81キロ級

(8月9日 カリオカアリーナ)
 男子81キロ級の永瀬貴規(22=旭化成)が柔道陣6個目の銅メダルを獲得した。前年の世界王者として臨んだが、初五輪で硬さが抜けず、準々決勝でセルジュ・トマ(29=UAE)に袖釣り込み腰で有効を奪われて敗れた。敗者復活戦と3位決定戦は本来の動きを取り戻し、同階級で00年シドニー五輪の瀧本誠(金メダル)以来となるメダルを獲得した。女子63キロ級では田代未来(22=コマツ)は準決勝、3位決定戦とも敗れ、今大会の柔道陣で初めてメダルを逃した。

 浦上川のほとりに立つ柳のように。柔道を始めた長崎・養心会の道場で永瀬はそう教わってきた。「鉄は硬くて折れてしまう。柳の木のように力を入れず、風が来たらふわふわ倒れんやろ」と。

 日本人離れしたリーチの懐の深さ、柔らかな身のこなしで受けの強さも抜群。しかし4年に一度の特別な風に吹かれ、柳は鉄に変わった。「ちょっと臆病になって本来の自分の動きが出せなかった。それも含めて今の自分の実力だと思う」。

 初戦からしなやかさを欠いたまま迎えた準々決勝。3分過ぎにトマの袖釣り込み腰で有効を取られた。「自分の中では投げられないだろうと思っていた」。気持ちと裏腹に、硬直した体はぐらりと倒れた。

 前日に男子2大会ぶりの金メダルを獲得した73キロ級の大野将平(24=旭化成)と並ぶ現代表の2トップと目されていた。井上康生監督は「準々決勝までは本来の彼とは全く違った。50%の力も出せてない」と悔やんだ。五輪の重圧かと聞かれた永瀬は「どうなんですかね…。そうすね、はい」と原因を見つけかねている様子だった。

 それでもメダルは確保した。敗者復活戦の前には大野が声を掛けにきたという。「まだメダルは残っている。そこを必死こいて獲りにいけ」。奮起して敗者復活戦は一本勝ち、3位決定戦では強敵のチリキシビリ(ジョージア)に競り勝った。

 81キロ級では現時点で国内にライバルは見当たらず、4年後も有力な代表候補であることは間違いない。「最後に本来の柔道ができたのはよかった。この悔しい気持ちのまま終わりたくない。4年後の東京は笑顔で終われるように頑張りたい」。リオでの経験は4年分の栄養を柳の木に注ぎ込んだ。

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