男子800リレーで銅メダル!東京五輪以来52年ぶりの快挙

[ 2016年8月11日 05:30 ]

男子800メートルリレー 銅メダル獲得で喜びを表現する4人(左から)萩野、江原、小堀、松田

リオデジャネイロ五輪・競泳 男子800メートルリレー決勝 3位

(8月9日)
 52年もの間、閉ざされていた扉をついに開いた。表彰台に手をつないで上がった4人が最高の笑顔を見せた。最後の五輪と位置づける32歳の松田は過去2大会は200メートルバタフライで3位。「銅メダルには結構縁がありましたね。思い出に残るレースになりました」と感慨深げに振り返った。

 歴史的快挙は予選5位に入ったことが伏線だった。外国勢と比べて体格の劣る日本は波の影響を受けやすいレーンでは力が出し切れず、決勝でまともに戦うことはできない。実力が抜けた米国の両隣に入れば、波が立った後を泳ぐことになる。つまり、米国が普通に泳げば予選1位で決勝は4レーン。その両隣を避けたい日本は、決勝は2レーンに入る幸運を引き寄せていた。

 「絶対に個人(200メートル自由形)より速く泳ぐ」と宣言した萩野が勢いをつけた。1泳で1レーンのベルギーが8位、3レーンのロシアが4位で引き継ぎ、間に挟まれた萩野が2位で前に出た。波の問題はかき消され、体重58キロと軽く最も波の影響を受けやすい江原がフラットな水面を前進することができた。順位は3位に落ちたが小堀が2位に巻き返し、最後は松田に託された。五輪4度の百戦錬磨はオーストラリアの猛追を振り切り3位を死守した。

 心は一つになった。6月末、松田が先頭に立ち萩野が合宿を行うスペインにサプライズで物資を送った。萩野が好きなワンタンスープやカップラーメンなどの食品を段ボールに詰め「少しでも心が和らいでくれれば」と思いも込めた。リオで合流してからも、3人は初日に400メートル個人メドレーに臨む萩野に「金メダルを獲るためにサポートするから」と約束。期待に応えた萩野と絆は深まり夢を現実に変えた。

 日本競泳陣の五輪金メダルは21個中11個が平泳ぎ。水中で抵抗を生む平泳ぎであれば、欧米人に比べて手足が短い日本人でも、技術でカバーできる側面がある。その半面、外国勢に有利な自由形は最後のテーマだったが通信アプリLINEの4人のグループ名は「8継(800メートルリレー)金」。最後まで金メダルを目指した気持ちが結実した。花形である自由形でメダルを獲得し、松田は「いよいよこれで本当の競泳大国と言えるんじゃないかと思う」とうなずき、「東京では金を目指してほしい」と後輩に夢を託した。

 ◆萩野 公介(はぎの・こうすけ)1994年(平6)8月15日、栃木県小山市生まれの21歳。学童(小学生)記録2、中学記録10、高校記録5など幼少から数々の国内記録を持つ。栃木・作新学院高から東洋大に進学。12年ロンドン五輪男子400メートル個人メドレー銅メダル。13年日本選手権で史上初の5冠。リオ五輪男子400メートル個人メドレー金メダル。1メートル77、71キロ。

 ◆江原 騎士(えはら・ないと)1993年(平5)7月30日、山梨県生まれの23歳。山梨学院大付高では2年時に全国高校総体男子100メートル自由形を制覇。山梨学院大を経て自衛隊に入隊。13年東アジア大会男子200メートル自由形優勝。15年の世界選手権で、骨折のため欠場した萩野公介に代わってリレー要員として追加で代表入り。1メートル72、59キロ。

 ◆小堀 勇気(こぼり・ゆうき)1993年(平5)11月25日、石川県生まれの22歳。能美市立辰口中、金沢高を経て日大に進学。ジュニア時代から国際舞台を踏み、日大1年の18歳で12年ロンドン五輪に出場。14年仁川アジア大会800メートルリレー金メダル。今季からミズノに所属。1メートル83、77キロ。

 ◆松田 丈志(まつだ・たけし)1984年(昭59)6月23日、宮崎県延岡市生まれの32歳。延岡学園高から中京大、中京大大学院、鹿屋体育大大学院と進み、14年3月からセガサミーに所属。男子200メートルバタフライで08年北京、12年ロンドン五輪の2大会連続銅メダル。世界選手権は05年2位、09年3位、11年2位。1メートル84、84キロ。

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