【M-1】ウエストランドがV! 炎上覚悟の全方位毒舌漫才で史上最多7261組の頂点に

[ 2022年12月18日 22:05 ]

M-1王者となったウエストランド
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 漫才日本一を決める「M-1グランプリ2022」決勝が18日、テレビ朝日系で放送され、2年ぶり出場のウエストランドが優勝した。今年は大会史上最多の7261組がエントリー。強豪たちが予選で軒並み敗退する大激戦を制し、18代目王座に輝いた。

 ファーストステージでは、河本太(38)の繰り出す「あるなしクイズ」をネタに、井口浩之(39)の怒りやうっぷんがネタを通じてにじみ出るような漫才で笑いを誘った。合計659点で、さや香(667点)ロングコートダディ(660点)に次いでファイナルラウンドへ進出。毒舌あふれる内容に、井口は「前(一昨年)に出させてもらった時に、松本さんが“もっと刺して欲しかった”と言っていたので、最悪、松本さんのせいにしようと思って」と笑った。

 ファイナルラウンドでは、同じ「あるなしクイズ」ネタで勝負。井口の怒りはさらに増幅して爆笑をさらい、恋愛映画やアイドルにまで毒を“噴射”。お笑いの本場・大阪も「自分たちのお笑いが正義だという凝り固まった考え!」と切り捨て、審査員の富澤たけしは頭を抱えてうつむいてしまうほどだった。最後は井口はM-1さえも標的に。「M-1もウザい!アナザーストーリーがウザい!いらないんだよ!泣きながらお母さんに電話するな!」とまくし立て、嵐のような4分間を締めくくった。

 各方面を敵に回しそうな?物議を予感させるネタではあったが、ジャッジは博多大吉以外の6人全員が支持。井口は静かに両手を天に挙げ、河本は静かに涙を流した。

 勝利の感想を聞かれた井口は、相方を見ながら「こんなにせりふも少なくてネタを飛ばすヤツが大号泣してるんで、今日いろいろ言いましたけど、それが一番腹立ちますね」と笑顔で毒舌の“延長戦”。河本は「今年になって、相方ばかりの稼働が増えて、すごく暇だったんですけど、さすがにチャンピオンになったらコンビで呼んで下さい。どこでも出ますので」と、思いを吐露した。

 審査員の松本人志は「こんな窮屈な時代なんですけど、キャラクターとテクニックさえあればこんな毒舌漫才もまだまだ受け入れられるという夢、感じましたね」と、世知辛い世の中に一石を投じるネタを称賛していた。炎上覚悟のネタに、井口は「ウケなかったらとんでもないことになってた」と胸をなで下ろしつつ、「自分の人生ですけど、初めて主役になれた気がします」としみじみ語った。

 一昨年の雪辱を果たす戦いだった。M-1決勝は2年ぶり2度目で、20年は10組中9位。大舞台の喜びよりも、悔しさが勝った。井口は大会公式YouTubeのインタビューで、「決勝に行くまでは、1回行けば満足するだろうと思っていましたけど、いざ行って、決勝で負けたらずっと悔しいですし、いろんな番組に出させていただいても、M-1の悔しさはM-1でしか返せないというのはあった」と告白した。

 リベンジへの強い気持ちは、M-1の当日から始まった。井口は「去年、準々(決勝)で落ちても、その日から次のネタを考えるというか、そういう気持ちでやってきました。去年のファイナリストとかも全員、にらみ付けてたんで、良かったです」と、ライバル心をむきだしに。2年間、728日でため込んだ思いを、2年ぶりの舞台で花開かせての王座だった。

 「M-1グランプリ2022」は8月から1回戦がスタート。準々決勝でEXIT、見取り図、インディアンスが敗退するなど、レベルの高さと新時代の台頭を予感させる大会だった。決勝はウエストランド、カベポスター、キュウ、さや香、真空ジェシカ、ダイヤモンド、男性ブランコ、ヨネダ2000、ロングコートダディに、決勝前の敗者復活戦から勝ち上がったオズワルドの計10組で争われた。審査員は立川志らく、富澤たけし、中川礼二、博多大吉、塙宣之、松本人志、山田邦子が務めた。優勝賞金は1000万円。

 ◇ウエストランド 2008年、ボケの河本太(38)ツッコミの井口浩之(39)の岡山県出身の2人によって結成。河本の一言に、井口が矢継ぎ早にツッコミを入れるスタイルで、速射砲のように笑いを連発する。河本はサウナ好きで、「サウナ温め選手権」日本大会に優勝した経験も。井口は大のサッカーファンとしても知られる。事務所は爆笑問題、日本エレキテル連合などが所属するタイタン。

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