【アニ漫研究部】水木一郎さん追悼 今こそ聞くべきアニキ入魂の名曲

[ 2022年12月18日 16:27 ]

歌手の水木一郎さん
Photo By スポニチ

 人気のアニメや漫画の魅力に迫る「アニ漫研究部」。今回は、今月6日に肺がんのため74歳で死去していたことが分かった“アニソンの帝王”水木一郎さんを偲び、「アニ漫」メンバーが集まりました。アニキの歌った名曲の数々について語り合いました。

 スポニチ本紙デスク アニソン界の巨星墜つ…だ。サッカーW杯で日本がスペインに勝った12月2日のイベントに水木さんが出演予定で、記者を行かせてたんだけど「体調不良のため欠席」で、心配していた。その4日後に亡くなった。

 本紙音楽記者 何度か闘病宣言前のライブを取材しましたが、何十年も前に収録されたアニメ放映時の音源と大きな違いを感じませんでした。あの力強い声を50年もキープされていたのは本当に凄いです。

 漫画編集者 マジンガーZの作者、永井豪さんも「作品が50年も人気を保てたのは水木さんのおかげ」との追悼コメントを出したけど、あのパワフルな「ゼェェット!」の雄叫びとともに、マジンガーZはロボットアニメの象徴であり続けているからね。
 本紙デスク 作曲した渡辺宙明さんも今年亡くなられた。今さらながら、僕の昭和が終わった気分。

 漫画編集者 平成も終わって令和の今、それ言う?(笑い) とはいえ分かる。「エヴァンゲリオン」や「鬼滅の刃」など、平成や令和のアニソンもヒット曲は多い。でも昭和のアニソンは、物語の主人公や敵キャラ、必殺技やテーマが、歌詞に織り込まれていて物語そのものだった。オープニングは勇ましく、エンディングは物悲しい。そんな様式美があった。

 アニメライター アニメが子供向けの一段低いエンタメに見られていた時代。マジンガーZのシングルジャケットを見たけど、水木さんの名前はなかった。アニソンの大家と言われたど、評価が高まったのは平成になって日本アニメの評価が高まってからだ。
 本紙デスク 訃報の紙面用に楽曲リストを作って再確認した。1985年以降の曲が少ない印象はある。アニメ人気の高まりとともに主題歌が、物語のテーマを直接的に織り込まない曲が増えた時期だ。

 アニメライター ガンダムの富野由悠季さんがその流れを作ったというけど、それが必要な時代だった。大人の鑑賞に堪えるアニメ作りが始まる中で“子供っぽいアニソン”が減っていったのかな。

 漫画編集者 「機動戦士Zガンダム」の後期オープニング曲を森口博子が歌ったね。あれは名曲だけど、過渡期だから森口は当初、葛藤もあったようだね。その後、人気歌手がアニメ主題歌を歌うのも普通になった。

 音楽記者 そんな中で日本アニメの評価が高まり、古き良きアニソンも再評価されましたが、これはアニキがあのパワフルな歌声で現役で歌い続けたことが大きかったのは間違いないです。
 本紙デスク あれから、ユーチューブで水木さんの曲をむさぼるように聞いているけど、いろいろ深いよね。子供の頃に気づかなかったものがある。

 漫画編集者 そうそう。マジンガーZのオープニング曲だと、子供の頃は必殺技や武器の連呼にテンションが上がったけど、今回「正義の心をパイルダーオン」という歌詞が気になった。そもそもマジンガーは「神にも悪魔にもなる巨大ロボット」だからね。永井さんの漫画は、人間の心にある正義と悪の揺らぎをテーマにしたものが多いけど、マジンガーの歌も巨大な力への恐れが込められているように感じる。

 本紙デスク 「バビル2世」はエンディング曲がいい。歌詞だけ見ると、必殺技や、悪を許さないヒーローらしい心の描写が多いけど、水木さんの声はどこかもの悲しい。今思うと、図らずも正義の戦いに放り込まれた少年の孤独が歌われていたように感じる。

 音楽記者 ルパン三世のエンディング曲「ルパン三世 愛のテーマ」もいいです。水木さんでは珍しい大人のラブバラード。今回、リストを見て知りましたが、確かに水木さんの声。力強さを残しつつも優しく心地よい。セクシーで甘い声。

 アニメライター アレ、歌詞は女性っぽいけど、誰目線なのかな。不二子ちゃん?ルパンと不二子の関係って謎が多いから、いろいろ考えちゃうよね。

 本紙デスク アニキの功績を称えてじゃないけど、ああいう作品の世界観を反映したアニソンがまた聞きたいな。

続きを表示

この記事のフォト

2022年12月18日のニュース