Miyuは宙を舞う「不可能を可能に」ダンサーの地位向上へ 前澤氏“月周回”旅行唯一の日本人メンバー

[ 2022年12月18日 06:00 ]

バックアップクルーに選ばれたMiyu(撮影・藤山 由理)
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 実業家の前澤友作氏(47)が来年計画する月周回旅行への同行に備える唯一の日本人が、本紙の単独インタビューに応じた。世界大会で優勝経験のあるダンサーのMiyu(25)。クルー8人のうち誰かが行けなくなった時に搭乗できるバックアップクルーとしてスタンバイ。月周回への一歩を踏み出し「ダンサーの可能性を私が広げたい」と瞳を輝かせた。 (安田 健二)

 クルーの募集は2021年3月に始まり、1年9カ月後の今月9日に発表された。Miyuにとって待ちに待った瞬間で「早く言いたくて、ずっと待っていた」と白い歯をこぼした。

 実は1年以上前に合格の連絡を受けていた。バックアップクルーと聞いた時の心境を「驚きとうれしさがあった半面、少し悔しい気持ちもあった」と語る。他のクルーとともに昨年12月には宇宙へ向かう前澤氏を見送るため出発地カザフスタンに滞在。初めてロケット打ち上げを目にして「感動して自然に涙が出た」と振り返った。

 もし月を周回できたら、どう踊りたいか。細かくて速い「高速ステップ」が自身の代名詞だが、無重力空間では地上のようにはいかない。その分「ターンは永遠に回れるので面白いと思う。逆さまになったり、普段できない角度で動くこともできる。誰もしたことのない体験や感情を自分の体で表現して作品に残したい」とアイデアはあふれるばかりだ。

 このプロジェクトを通じて「ダンサーの社会的地位を上げたい」と考えている。8歳からストリートダンスを習い、17年に世界最高峰のダンスバトル「ジュストゥ ドゥブ」で優勝。小学校の作文で「世界一のダンサーになる」と書いた夢をかなえた。一方「アスリートと同じように努力して世界大会で優勝しても世の中に全く知られていない」と世間との温度差も痛感した。

 ダンスは12年に中学の必修科目となり、SNSに動画があふれるなど日本人にも身近となった。ただ、職業としては振付師やインストラクターなど裏方が目立ち「ダンサー一人で輝く機会があまりない」。自身にも教え子が数十人いるものの「将来なりたい職業を聞いた時に“ダンサーになりたい”と言った子が一人もいなかった。理由は親に反対されたり、稼げないから。それが凄く悲しくて」と危機感を抱く。

 それだけに「ダンサーの可能性を自分が広げていきたい。月が大きな目標を与えてくれる存在になった」と思いは強い。23年中に予定している出発に向けバックアップクルーも他のクルーと同じ訓練などをして準備する。人生で最も大切にしている言葉は「不可能を可能に」とMiyu。踏み出した一歩はダンサーの未来への大きな一歩になっていくはずだ。

 ◇Miyu(みゆ) 1997年(平9)12月3日生まれ、東京都出身の25歳。19年NHK紅白歌合戦にMISIAのバックダンサーとして出演。今年2月、音楽ユニット「水曜日のカンパネラ」の「エジソン」のミュージックビデオで披露した「足ダンス」が流行。楽曲を使用した動画の総再生数は27億回超え。好きな食べ物は焼き肉で、中でも好物はタン。

 ▽dearMoon ZOZOの創業者・前澤氏が出資し、民間人初の月周回を目指すプロジェクト。宇宙船は大富豪イーロン・マスク氏が創設した「スペースX」が開発中の「スターシップ」。前澤氏が同船の全座席を買い取った。乗組員には世界249カ国・地域から約100万人の応募があった。クルー8人には韓国の人気グループ「BIGBANG」のT.O.P、世界的DJスティーブ・アオキの名前も。バックアップクルーはMiyuを含め2人。計画は遅れも指摘されている。

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