巨人 吉川尚弾で史上初の球団通算6000勝 原監督「86年目を迎える重みを感じます」

[ 2020年6月20日 05:30 ]

セ・リーグ   巨人3―2阪神 ( 2020年6月19日    東京D )

<巨・神>逆転2ランの吉川尚を笑顔で迎える原監督(撮影・大森 寛明)
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 新型コロナウイルス感染拡大で延期が続いていたプロ野球は19日、約3カ月遅れでセ・パ両リーグが開幕した。リーグ連覇を目指す巨人は宿敵・阪神と激突。1点を追う7回に吉川尚輝内野手(25)が逆転2ランを放ち、プロ野球史上初の球団通算6000勝に到達した。史上初の無観客開催。異例ずくめながら国内スポーツの先陣を切り、原巨人が2020年初戦をメモリアル勝利で飾った。

 無観客の静けさが緊張感を増幅させる。選手の鼓動が聞こえるかのような接戦。開幕戦で原監督の采配が、史上初の球団通算6000勝に到達させた。

 「巨人は未来永劫(えいごう)続く。開幕戦がそういう1勝になるのも幸運。6000の数字に、86年目を迎える重みを感じます」

 血走る眼力で、チルドレンを次々と投入した。1―2の7回先頭で石川を代打に送った。右前打で起用に応えると、代走には増田大。自身初の開幕1軍をつかんだ湯浅を代打で送り、犠打のサインを出す。二塁に進んだ韋駄天(いだてん)がプレッシャーをかけた。

 「結集」「劇的」と表現した逆転2ランは、ケガがなければ首位打者を狙えると評価している吉川尚が放った。岩崎の内角直球に腕を畳んで振り抜き「FANS(ファンとともに)」の文字が記された右翼席に運んだ。「つなぐ気持ちが最高の結果になった。ガッツポーズが出ました」と喜ぶ25歳に抱きつきたい気持ちを抑え、「エアグータッチ」で迎えた。

 今年の元日、神奈川県伊勢原市の大山阿夫利神社を参拝。山上の霧も雲も晴れ、自身が育った相模原の町を一望した。初詣の願いは「健康でいさせてください」ということだけ。「一番大切なのは体。心と技術はついてくる」という持論からだ。

 2カ月後、人類は改めて健康の大切さを痛感する。現役時代は愛煙家だったが、新型コロナウイルスによる肺炎の重症化につながるとされるタバコは03年に断っていた。第1次政権を2年で終え「楽な生活は送りたくはない。人生に制約を課そう」と決めたのがきっかけだ。18年に3度目の監督復帰が決まると岡本に禁煙を勧めたのも、健康の大切さを説く親心だった。

 活動自粛中、明子夫人はゴム手袋をして外出し、車で送る原監督は車内で買い物が終わるのを待った。安全なプロ野球開幕のため、球団に抗体検査の実施を強く訴えて先陣を切って実施した。「体」から心技を整え、現役時代は15年間で1069勝に貢献し、コーチ時代の3年で228勝。監督14年目で通算1025勝を挙げた。

 特別な1勝に「ご存命の方も他界された先輩たちも喜んでくれていると思う。ユニホームを着る喜びを持ち(歴史を)つなげていきたい」。6000勝で3分の1を超す2322勝に携わる。それもまた「通過点」と言った。(神田 佑)

 ≪開幕戦で区切りは初≫巨人がプロ野球史上初の通算6000勝(4291敗325分け)を達成した。初勝利は球団発足2年目で、プロ野球初年度の36年7月3日大東京戦で記録。巨人の過去の区切りの勝利を見ると、球団初勝利を36年のシーズン2試合目、3000勝を79年のシーズン3試合目に記録しているが、開幕戦の勝利が、500勝刻みの区切りの勝利となったのは今回が初めてだ。

 ≪指揮官3度目の節目≫巨人の全勝利数を監督別に分けると、川上哲治監督の1066勝が最多で、2位が長嶋茂雄監督の1034勝、3位が原辰徳監督の1025勝。原監督はあと41勝で川上監督に並ぶ。また、原監督にとっては、チーム5000勝、5500勝に次ぎ3度目の区切りの勝利。チームでは長嶋監督の3度(3000勝、4000勝、4500勝)に並ぶ最多回数になった。

 ≪吉川尚 開幕戦アーチは初≫先発1番の吉川尚(巨)が7回に逆転2ラン。自身本塁打は18年7月31日DeNA戦以来2年ぶり通算5本目で、開幕戦アーチは初めてになる。巨人で開幕戦先発1番の本塁打は16年3月25日ヤクルト戦で長野が先制ソロ本塁打を放って以来8人目(9本目)。V弾となったのは54年4月3日国鉄戦の与那嶺(先制3ラン)、前記長野に次いで3人目。逆転V弾は吉川尚が初めてだ。

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