阪神・西勇 虎党に届け!球団投手82年ぶり開幕弾&6回1失点力投

[ 2020年6月20日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神2―3巨人 ( 2020年6月19日    東京D )

<巨・神>3回、菅野(左)から先制ソロを放つ西勇(撮影・木村 揚輔)
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 新型コロナウイルスの影響で開幕が3月20日から大幅に延期されていたプロ野球が19日、当面は無観客で、国内主要スポーツの先陣を切って全国6球場で開幕した。東京ドームで巨人と対戦した阪神は先発・西勇輝投手(29)が打ってはプロ初本塁打を含む2安打2打点。投げては6回1失点と孤軍奮闘したが、2―3の逆転負けを喫して開幕戦連勝は3で止まった。

 この一戦にかけていた思いの強さがにじみ出た。敗戦後、西勇は広報を通じて「チームが負けてしまったので何も言えることはありません」とコメント。投打にわたる活躍の喜びは、逆転負けの悔しさにかき消された。

 ただ、その輝きが色あせることはない。危なげなく立ち上がって迎えた3回の攻撃だ。2死走者なしで迎えたオープン戦、練習試合を含めた今年初打席。ファーストスイングで、菅野の直球を左翼ポール上部に直撃させた。プロ通算95打席目で放った初アーチ。阪神の投手が開幕戦で本塁打を放ったのは、1938年春・阪急戦での御園生崇男以来82年ぶりという快挙だ。2020年のチーム初安打でもあった一発は、球団史に刻まれた。

 同点の5回1死二塁の第2打席では、目の色を変えて抑えにきた菅野の宝刀スライダーを捉えて左中間を真っ二つ。昨年1月まで4年連続でオフの自主トレを共にした“師匠”に、予想外のカタチで屈辱を味わせた。

 マウンドで見せたパフォーマンスも圧巻だった。初回先頭の吉川尚に四球という嫌な滑り出しも乱れない。坂本、丸から連続で見逃し三振を奪うと4回2死まで走者を許さなかった。そのあとに背負った二、三塁のピンチで中島の適時内野安打による1点を失ったのみ。独特な緊張感の中でもいつも通り、多球種でコーナーを厳しく攻め、6回1失点にまとめてみせた。

 97球で西勇の降板を決断した矢野監督はまず「いや、凄かったね…」と脱帽。続けて「開幕で、気持ちも体も飛ばしているという部分もあったし、難しい判断ではあったけど」と継投理由について話した。別の選択肢があったのは事実だろうが、それも結果論。事実を受け止めて前に進むしかない。

 開幕延期が決まった3月末に「キャンプ前ぐらいの強度で」と追い込み期間に突入し、活動再開後に十分な実戦調整が無くても万全の状態でこの日を迎えた。そんなエースが孤軍奮闘した敵地の夜。これからの猛虎の活力として、再び輝きを増すに違いない。(巻木 周平)

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