【東兵庫】甲南“父子鷹”吉田の夏終わる 元阪神の父・浩氏に感謝の言葉も

[ 2018年7月18日 14:30 ]

第100回全国高校野球選手権記念東兵庫大会3回戦   関西学院2―1甲南 ( 2018年7月18日    尼崎 )

<関西学院・甲南>甲南の吉田(左)は最後の夏が終わり、元阪神外野手の父・浩さんにねぎらいの言葉をかけられた
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 元阪神外野手の吉田浩さん(46)を父に持つ甲南・吉田凌馬遊撃手(3年)の最後の夏が終わった。3打数1安打2盗塁。2番打者として気を吐いたが、強豪の関西学院に1―2で敗れた。涙で目を赤くしながら「勝ちたかったというのはあるけど、自分の持ち味を出せたのは良かった」と、しぶとい打撃、堅い守備、走力を発揮したことに胸を張った。

 試合後の円陣で、父は部員の前で長男に言葉を贈った。「すまなかったな、オレが来てしまって。お前が1番つらかったと思う。優しい言葉もかけられなかった」。4月から甲南の臨時コーチに就任。週末にチームの指導をしたが、「グラウンドでは親父じゃねーぞ」と息子に特別扱いを一切しなかった。むしろ、厳しく接した。

 よくある親子関係だった。現役時代は阪神に7年在籍。主に代打や代走、守備固めでチームを支えた。その経験や知識を伝えようと、小学1年から野球を教えたが、「中学に入ったら息子はしゃべってくれなくなった」と苦笑いで振り返る。

 昨年2月に学生野球資格回復をした。「息子と話をしたかった」という言葉には、アドバイスを求められた時に、プロアマ関係を気にせずに堂々と指導ができるようにという思いが込められていた。

 この日は部の臨時コーチとして、父としてスタンドで見守った。7回、追い込まれてからの中前へのクリーンヒットも、終盤の2盗塁もその目に焼き付けた。「オレより足が速い」。素直に実力を評価した。

 プロ野球選手の子どもとして様々な感情を抱きながらプレーしてきた息子は、素直に感謝を口にした。関西学院戦の朝、父から「やってきたことしか出ない。それを120%やるだけ」とエールをもらったという。

 「父の言葉は原点に戻してくれる。何気ない存在だけど、何気ない言葉が落ち着く。今朝もそう言われて、分かっていたことだけど、やっぱりそうだと受け止めた。信じてプレーができた」

 面と向かっては伝えづらくても、心遣いがうれしかった。卒業後に野球を続けるかどうかは未定。ただ、「父を越えたい」と思って始めた野球だ。「大学でどこまで通用するのかやってみたい」という思いも強く持っている。

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2018年7月18日のニュース