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【生島ヒロシ オヤジの処方箋】骨粗鬆症 男性でも油断禁物!!寝たきりで死亡も

[ 2019年5月15日 12:00 ]

生島ヒロシ
Photo By スポニチ

 芸能界一、健康に詳しいアナウンサー生島ヒロシ(68)が、シニアに向けて元気に生きる方法を指南する連載「誰も教えてくれなかった“老いるショック”脱出術 オヤジの処方箋」。令和第1回は「骨粗鬆症(こつそしょうしょう)」です。女性の病気というイメージですが、発症して骨折し寝たきりになると、男性の方が早く死亡するというデータもあります。予防の鍵は、カルシウム以上に重要な2つの栄養素と、骨への刺激です。

 皆さん、こんにちは。生島ヒロシです。「令和」が始まりましたね。新しい時代、元気でイキイキと過ごしましょう。その基礎となるのは、やっぱり「骨」。今日は骨のお話です。

 早口言葉のような「骨粗鬆症」。どうですか?男性の皆さんは「女性の病気だよな」「男は関係ないね」なんて思ってるんじゃないですか?違いますよ。確かに男性の罹患(りかん)率は女性の3分の1ほどです。それでも国内で約230万人の男性が発症しています。おまけに、骨粗鬆症による股関節の骨折や腰痛で寝たきりになると、女性が平均7年で死亡するところ、男性は2年というデータもあるんですって。死亡率は女性7~8%に対し、男性12~14%と約2倍という報告もあります。

 ありがたいことに、いまのところ骨の量は十分。68年間、骨折もしたこともありません。でももう体は“中古車”。ジムのプールでウオーキングしたり、筋トレしたり。最近、エアロビクスも始めたんですよ。体を動かして汗をかくのは本当に気持ちがいい。それも骨がしっかりしていないとできないですからね。

 【原因】骨密度は男女とも20歳前後がピーク。50歳前後から低下します。これは女性ホルモンのひとつ「エストロゲン」の分泌量減少が関係しています。エストロゲンは男性にもあります。「破骨細胞」と呼ばれる細胞が古くなった骨を壊し、そこに「骨芽細胞」と呼ばれる細胞がくっつき新しい骨を形成。エストロゲンには破骨細胞の働きを抑える作用があります。その分泌量が減るんですから、骨がどんどん壊されていって新しい骨の形成に追いつかなくなるのです。これが主なメカニズムです。

 もちろんカルシウム不足も原因です。無理なダイエットや偏食はいけません。喫煙と過度の飲酒も要注意。喫煙はエストロゲンの分泌を低下させ、飲み過ぎは骨芽細胞の働きを妨げます。糖尿病など生活習慣病も関係します。あとは運動不足。後述しますが、骨に刺激を与えないと骨は育たないのです。

 【検査】まずは生活習慣や食生活に関する問診です。欠かせないのは、骨密度の測定。エックス線を使い全身の骨を調べる「DXA(デキサ)法」、手のひらをエックス線で撮影する「MD法」などがあります。私が懇意にしている医学博士で麹町白石接骨院(東京都千代田区)の白石洋介院長は「50歳半ばを過ぎたら検査を」と勧めていますよ。

 【治療】食事、運動、薬物療法の組み合わせです。薬物は破骨細胞の働きを抑えるものや、カルシウムの吸収を助けるものなどがあります。骨粗鬆症では腕の付け根、脚の付け根、手首、背骨の4つが特に骨折を起こしやすい箇所です。骨折した場合はその処置も大切になってきます。

 【予防法】骨がもろくなるんだからカルシウムを取らなきゃ。もちろんそうなのですが、カルシウムばかりに目を奪われては駄目です。いま注目されている2つのミネラルがあるんです。

 1つは「マグネシウム」。このマグネシウムには、カルシウムを骨に定着させる作用があると言われています。体内でマグネシウムは大半が骨に蓄積されていて、不足すると骨から溶け出す。これが骨粗鬆症にもつながっていくのです。カルシウムとマグネシウムの摂取量の割合は「2対1」。マグネシウムを多く含む食品(図①)の上位は、ひじきやこんぶなどの海藻類です。特にひじきはカルシウムも豊富で、しかも含有量がなんと「2対1」。理想の食材なのです。シニア層の一日摂取量の目安は350ミリグラム前後。取り過ぎると下痢になるので注意してください。
 2つ目は「ビタミンD」です。腸内でカルシウムが吸収されるのを助けてくれます。ビタミンDがないと、せっかく食事でカルシウムを取っても駄目なのです。ビタミンDは魚類やきのこ類に多く含まれています(図②)。あと、ビタミンDは日光浴でも生成されます。皮下脂肪にある、ある種のコレステロールに紫外線が当たると化学反応が起こりビタミンDが作られるのです。一日30分程度の散歩で十分。一日の目安摂取量は成人で5・5マイクログラムです。  2つの表を見てください。カルシウムの吸収には「ひじきを添えたサケやサンマの焼き魚」が最高じゃないですか。やっぱり日本食はいいんですよ。食べるものと同等に重要なのが運動です。この前、白石院長を訪ねたとき「骨に刺激を与えることが骨の形成を促す」と話していました。白石院長いわく、骨の内部にある骨細管に“たわみ”が生まれると、管の中の骨液の流れが変わる。それで骨が作られていくんですって。白石院長は高齢者が気軽にできる「貧乏揺すり」を勧めています(図③)。

 かかとをコツコツと床にぶつけて刺激するんです。散歩の時もコツコツとリズム良く歩くといいそうですよ。ただし強くは打ち付けないでくださいね。かかとを痛めたら、元も子もないですから。あと、片足立ちで体を支えるフラミンゴ立ちや四股もいいと聞きますよ。

 骨の中は見えないですからね。骨折して初めて骨粗鬆症と分かる人が大半です。院長からは「骨折して体が動かなくなると、脳への血流もにぶってくる。立って歩かないと“第2の心臓”と言われるふくらはぎを使わなくなるわけですから」と説かれました。散歩で骨を刺激して太陽浴びてビタミンDを作る。一挙両得じゃないですか。さあ“令和の第一歩”踏み出しましょうよ。

 ◆生島 ヒロシ(いくしま・ひろし)1950年(昭25)12月24日生まれ、宮城県出身の68歳。米カリフォルニア州立大ロングビーチ校ジャーナリズム科卒業後、76年にTBS入社。89年に退社し、生島企画室を設立。TBSラジオ「生島ヒロシのおはよう定食・一直線」(月~金曜前5・00)は、98年から続く長寿番組。名物コーナー「教えてドクター!病気が逃げてく健康習慣」に登場する名医たちとの親交から、芸能界きっての健康通。

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