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【だから元気!】小室等 生涯弾き語り グ~ッドな指トレ 「エンケン」の置き土産で演奏万全

[ 2021年7月9日 05:30 ]

フィンガートレーナーを手にする小室等(撮影・篠原岳夫)
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 トランペットの指で押す部品(ピストンバルブ)みたいな、手のひらサイズのコレがフィンガートレーナー。指の腹で押してみて。結構硬いでしょ。一気に握るのでなく、指1本ずつ押すのが重要。枕元と仕事机、両方に置いて、思い出したように押してます。

 出合いは2015年。僕がやっていたイベント「フォーク長屋」に賢司がやってきて、これを2種類持ってきた。「これから年を食う。俺たちフォークをやってる者には(ギターの弦を押さえる)指の力が重要だから!」って、くれたんです。

 一つは軟らかめの「ライト」、もう一つは硬めの「ミディアム」だった。ミディアムはめっちゃ硬いんですよ。「これじゃ俺、骨折しちゃうよ」ってんで、普段はライトでよろしくやってます。

 僕は腱しょう炎持ちで、ギターを弾くとき薬指だけで弦を押すと前腕がピリッとくる。あと時々、特に人さし指が突っ張って戻らなくなる。人は順調に劣化するが、長くギターを弾くための、賢司の置き土産だと思って大事にしてます。それでもつった時には、即効性があるという漢方薬の芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)を常備。これで万全です(笑い)。

 指先を鍛えると頭の体操にもなるとかいいますが、そちらは“そうならいいなあ”ってくらいで。とにかく僕は亡くなる間際まで歌いたい。そのためにはギターが弾けないといけない。だからやっているだけ。指を鍛えるという行為そのものというよりは、人生のカウントダウンを迎え、死に際への心構えを持っていたいという方が、より多くの人に伝わるかもしれません。

 60歳を境にして“あ~、年だな”となり、70歳を過ぎてから肉体的劣化も含め、その思いが強くなってくる。できないことも増えてくるし、時代に取り残されるのも仕方ない。

 あの有名な「紅蓮華」のLiSAさんを知らなかった僕も、確実に時代遅れの人間。おまけに勉強するのもイヤ。だけど僕は、時代遅れであるということを嘆いていない。

 僕の時代遅れの中に光り輝く原石があって、それを見いだしてくれる審美眼を持つ人が数人いるとすれば、僕はもうその数人を相手に生きていける。そういう生きがいや芯の部分を失わないよう、心と体を保持していくことが、老後には大事なのかもしれませんね。

 ところで僕は、パフォーマンスする時、立って弾き語りをすることを旨としてます。故かまやつひろしさんも同じ考えだったけど、ある時、途中で座ってパフォーマンスをしたんです。それから急激に亡くなった。僕も、もう人ごとではない年齢。なるべく立ってパフォーマンスするという期間を引き延ばしたいですね。

 ◇小室 等(こむろ・ひとし)1943年(昭18)11月23日生まれ、東京都出身の77歳。68年に「六文銭」を結成。上條恒彦と共演した71年「出発(たびだち)の歌」は、同年「第2回世界歌謡祭」グランプリを受賞するなどヒット。75年に吉田拓郎、井上陽水、泉谷しげると「フォーライフ・レコード」を結成し、初代社長に。現役歌手によるレコード会社設立は異例で、社会的反響を呼んだ。

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