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【生島ヒロシ オヤジの処方箋】偏った噛み癖→顎のズレ→全身の病気に

[ 2020年7月11日 12:00 ]

生島ヒロシ
Photo By スポニチ

 芸能界一、健康に詳しいアナウンサー生島ヒロシ(69)が、シニアに向けて元気に生きる方法を指南する連載「誰も教えてくれなかった“老いるショック”脱出術 オヤジの処方箋」。今回は「噛(か)むことと、顎のずれ」について考えます。左右どちらか一方で食べ物を噛む癖のある人は、それが全身の病気につながる可能性があるのです。

 《歯のセンサーがコントロール》
 皆さん、こんにちは、生島ヒロシです。東京都の1日の新型コロナウイルス感染者が243人と、最多を更新しましたね。普通の生活に戻りつつあるのですが、まだまだしっかり感染予防対策をしていきましょう。

 だるいなあ、肩や腰が痛いなあ、胃の調子が悪いなあ、と感じる人、多いですよね。最近なら、コロナの自粛疲れかなあとも思うんですが、実はそれ、あなたの「噛み合わせ」が原因かもしれないのです。

 「噛まない、噛めない、噛みたくない。あなたの老後は惨めです」

 これは、私がレジェンドと慕っている、日本歯科医療管理学会・日本歯科医学教育学会名誉会員で顎口腔(がくこうくう)機能整体研究フォーラムの加藤元彦先生が提唱している標語。今回は御年89歳の現役歯科医師、加藤先生にお話をうかがいました。

 加藤先生は「歯のセンサーが体全体をコントロールしている」と指摘します。歯と、その歯を支える骨の間には歯根膜という組織があり、歯が受けた刺激はセンサーの役割をするこの歯根膜から小脳へ伝わっていくそうです。小脳は全身の運動機能をつかさどる器官。筋肉の弛緩、姿勢の制御などです。

 歯が受ける刺激、圧力が左右で一定でないと、小脳に伝わる指令の強さにもずれが生じる。右側の歯だけに強い圧力がかかった場合、小脳から全身への指令も体の右半分が強くなり、結果として右半分の筋肉が常に緊張状態におかれるそうです。

 加藤先生によると、例えば右側の歯だけで噛む癖があると、右の下の歯がだんだんと内側に倒れてきて、その影響で下顎が左にずれていく。その影響で次第に頭部も傾いていくそうです。成人の頭部はだいだい5キロほどと言われています。加藤先生は「首の上に5キロのボウリングの球が乗っている。その球がぐらついてきたら、首から下にも支障が出るでしょ」と話しています。確かにそうですね。

 《コロナ感染重症化しかねない》
 首肩腰の凝り、膝痛、緊張性頭痛、自律神経失調症、過敏性腸症候群、ドライアイ、めまい、パニック障害、更年期障害、慢性疲労症候群、不眠症など――加藤先生いわく、これらの病気は顎のずれが原因であるケースが多いそうです。顎のずれを矯正すると、パタッと治る患者さんが多いんですって。

 皆さん、左右どちらで噛んでいるかなんて、普段は意識しないですよね。もしかしたら“噛み癖”があるかもしれません。加藤先生のお話からイラストを作ってみました。例えば右側の目だけ小さい、右側の頬骨だけが張っている、右側のほうれい線だけが深い。こういう人は、右側で噛む癖がある可能性が高いそうです。

 顎のずれを招く噛み合わせについては、マウスピースで矯正するなど治療法はあります。でも加藤先生は「まずは自分で治したいという気持ちをもって、食事の仕方を変えること」と強調します。右側で噛む癖がある人は、舌で食べ物を左側に寄せて、意識的に左側で噛む。これが大切ですって。

 先ほどの標語に続いて、加藤先生からは「命とは、自律神経、内分泌、免疫系の三脚の上に乗っているもの」というお話がありました。どれかひとつに支障が出ると、命は転げ落ちてしまうことがある、ということですね。自律神経も内分泌も免疫系も、どれも「顎のずれ」と密接に関わっているそうです。これは放っておけないですね。顎のずれは免疫系の低下にもつながるので、加藤先生は「顎がずれている人は、新型コロナに感染した場合、重症になりかねない」とも話していました。

 加藤先生とはもう40年のお付き合い。それだけに、噛み合わせ、噛み癖には気を使っています。朝起きたら、上の歯と下の歯をカチンと合わせて音を確認。桐の風呂おけを置いた時のような「カコーン!」という音だと、今日も快調。鈍い音が出たときは、体調に注意しています。

 顎がずれていないか、皆さんも鏡でチェックしてみてください。
 ◆生島 ヒロシ(いくしま・ひろし)1950年(昭25)12月24日生まれ、宮城県出身の69歳。米カリフォルニア州立大ロングビーチ校ジャーナリズム科卒業後、76年にTBS入社。89年に退社し、生島企画室を設立。TBSラジオ「生島ヒロシのおはよう定食・一直線」(月~金曜前5・00)は、98年から続く長寿番組。名物コーナー「教えてドクター!病気が逃げてく健康習慣」に登場する名医たちとの親交から、芸能界きっての健康通。

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