こだわり旬の旅

【長野・松本】新そばシーズンに隠れた人気スポット 抜群のど越しと香り満喫

[ 2020年11月27日 20:30 ]

田園風景が広がる丘陵地にそば店が点在する唐沢そば集落
Photo By スポニチ

 秋の新そばのシーズン。信州そばを食べに出掛けた長野県松本市近郊で、隠れた人気スポットを見つけた。山形村の「唐沢そば集落」。人里離れた一画に8軒のそば店がたたずみ、県外からそば通が詰め掛けているのだ。人気の秘密はコシのある麺とさわやかなのど越し。宿は美ヶ原温泉に摂ったが、伝統のそばと名湯で、コロナ禍のストレスが吹き飛んでいくようだった。

 JR中央本線松本駅からタクシーで約30分。行けども行けども田園風景が広がる丘陵地に、そば集落はこつ然と姿を現した。約500メートルの間に8軒のそば店が点在。平日にもかかわらず、どの店も人だかりができていて駐車場は満杯。路上駐車する車もあるほどで、そのほとんどが県外ナンバーなのには驚かされた。

 昭和30年代から営業を続けているという老舗3店の一つ、「根橋屋」に飛び込むと、閉店(午後2時)20分前で4組待ち。遅い昼食になってしまったが、品種「信濃一号」を使った新そば(12月まで)の味はそれを補って余りあるほどだった。

 頼んだのはざるそばに天ぷらをセットした天ざるそば。麺は細いのにコシがあり、のど越しが抜群。新そばらしく香りもいい。「うちは麺棒をころがして生地を延ばす江戸前ではなく、麺棒で叩いては延ばす『打ち延ばし手駒切り』という古くから伝わる技法による純手打ちそばです。コシがあるのはそのせいでしょうか」と3代目・根橋幸太郎さん(33)。脇で母親の美和子さん(59)が「まだ勉強中ですけど」と目を細める。

 天ぷらも手作りで、普通の3倍はありそうなかき揚げにピーマン、カボチャ、さつまいもなどが盛られボリューム満点。サクッとして舌ざわりも良く、これに野沢菜などのお新香がついて1070円(税込み)は安い!

 江戸時代から集落のそばを流れる唐沢川の水を利用し、精米や製粉などの水車営業を続けてきた唐沢地区にそば組合が設立されたのは終戦後の1945年(昭20)。電力化で下火になった水車営業からそば営業に切り替わったもので、10月から3月までの季節営業が通年営業になったという。

 「昔は午前中に来たお客さんがそばを食べた後、10人ぐらいで昼過ぎまで話し込んでいたもんです」と美和子さん。確かに廊下奥にある食事スペースの大広間は田舎を思い出させるようで、アットホームな雰囲気。テーブル席に座ると不思議に落ち着き、そばを食べ終わった後もついまどろんでしまう。

 そんなあたりも受けるのだろう。土・日曜日になると200人近くが詰め掛ける人気ぶり。「最近は後継者不足が問題になりつつありますが、お客さんがいる限り、そばを作り続けたい」と幸太郎さん。そば打ちの手法は各店ともさまざまだそうで、夏の新そばの頃、また来ようっと。

 ▽行かれる方へ 車は長野道松本ICから約20分。松本電鉄波田駅からも徒歩約40分で行ける。そば店はほかにからさわ亭、水舎本店、からさわ屋、そば幸、つつみ庵、みさわ屋、山法師。問い合わせは根橋屋=(電)0263(98)2313、山形村観光協会=(電)同(31)6220。

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