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【生島ヒロシ オヤジの処方箋】頻尿 過活動膀胱は1000万人以上、トレーニングして予防

[ 2021年5月7日 12:00 ]

生島ヒロシ
Photo By スポニチ

 芸能界一、健康に詳しいアナウンサー生島ヒロシ(70)が、シニアに向けて元気に生きる方法を指南する連載「誰も教えてくれなかった“老いるショック”脱出術 オヤジの処方箋」。今回は「頻尿」です。トイレが近いと、毎日の生活に大きな影響が出ます。新型コロナウイルス感染予防で在宅時間が長い今、2つの“訓練”で頻尿解消を目指しましょう。

 皆さん、こんにちは、生島ヒロシです。ゴールデンウイークもいよいよ終盤ですね。でもコロナは終わりが見通せません。感染予防をしっかりしていきましょう。

 今日のテーマは頻尿。昨年7月にもこの連載で取り上げていますが、今回は「過活動膀胱(ぼうこう)」と「睡眠時無呼吸症候群との関係」について考えていきましょう。日本大学医学部付属板橋病院長で、泌尿器科が専門の高橋悟先生に再び登板していただきました。

 「過活動膀胱とは、尿が十分たまっていなくても、膀胱が自分の意思とは関係なく収縮して尿意をもよおす状態のこと。漏れてしまうのではないかという恐怖感を伴い、約半数が実際に漏らしてしまう。これを“切迫性尿失禁”といいます」とのことです。過活動膀胱は国内では男女合わせて1000万人以上といわれ、40歳以上の健康な男女の12・4%というデータもあるんですって。

 「過活動膀胱の主な原因は加齢」と高橋先生。ただ、脳卒中の後遺症や直腸がんの手術などで骨盤内の神経が傷ついたことが影響する「神経因性」のものもあるとのことで「全体の20%くらい」だそうです。

 男性は、前立腺肥大症との関係が指摘されています。「前立腺肥大の男性の約50%は過活動膀胱の症状が見られる」とのこと。高橋先生はその理由を、次のように説明します。

 前立腺が肥大→おしっこの出口が小さくなる→膀胱が肥大する(膀胱の筋肉の壁が厚くなる)→血流が悪くなる→膀胱の筋肉・神経に影響が出る→膀胱の筋肉が不安定になり勝手に動きだす

 「最終的に尿がうまく出せなくなり、最悪の場合、腎不全になることもある」そうです。

 男性は前立腺肥大に気をつける必要がありますね。あと、過活動膀胱は生活習慣病の患者に多いということで、高橋先生は、高血圧・高脂血症・肥満・糖尿病の予防を強調しています。

 過活動膀胱は加齢に伴うものなので、なかなか予防は難しそうです。それでも、高橋先生も勧める、改善に効果が期待できる「訓練」が2つあります。1つは「骨盤底筋訓練」といわれるものです。骨盤底筋とは、読んで字のごとく、骨盤の底にある筋肉。内臓、子宮、膀胱を支えています。この骨盤底筋が弱ってくると、内臓が下がってきてしまい、膀胱を圧迫。尿漏れの原因となってしまうのです。そこで、この筋肉を鍛えるわけです。

 仰向けに寝るか、椅子に座るか、机に両手をついた状態、どれでもOKです。おならを我慢するように、肛門と尿道をキュッと締めます。「速く締めたり、ゆっくり締めたり。1日に80回から100回ほどやると効果が出てきます」と高橋先生は話しています。これなら、電車で移動中にも“特訓”できますね。

 2つ目は「膀胱訓練」。トイレに行くのを我慢して、膀胱にためる尿量を増やしていくものです。尿意を感じたら、まず5分ほど耐えてみましょう。まだいけそうなら、あと5分。もう一声で、あと5分。排尿の間隔ができるだけ延びるように、膀胱の訓練をするのです。もちろん、漏らさない程度にですよ。「尿道を締めると膀胱が弛緩(しかん)して、尿意が和らぎます」。高橋先生からのアドバイスです。膀胱訓練は、我慢の限界に来たらいつでもトイレに駆け込める自宅や、周囲に確実にトイレがある場所でやることが肝心です。

 「骨盤底筋訓練は筋トレ、膀胱訓練は実際の運動だと思ってください。過活動膀胱に対して、2本立ての訓練です」。アスリートと同じですね。

 睡眠時無呼吸症候群って知ってますよね。寝ている間に10秒ほど呼吸が止まって、ガアッといういびきで目が覚めたりする、あれです。実は、夜トイレにたびたび起きる夜間頻尿と関係があるというのです。高橋先生は次の3点を指摘しています。

 (1)睡眠時無呼吸症候群で眠りが浅いと、尿意で起きるわけではないが、目覚めたときに少しでも尿意があると、ついついトイレに行ってしまう。

 (2)睡眠中は、脳の視床下部で抗利尿ホルモンが作られ分泌される。眠りが浅いと、このホルモンの分泌が落ちる。結果的に夜間の尿量が多くなる。

 (3)気道が収縮した状態で空気が入らないため、胸腔(きょうくう)内が広がらず肺が膨らまない。その分、心臓が膨らみ肥大。心臓への血流が増え、体は「水分が過剰になった」と勘違いして利尿ホルモンを出す。

 なるほど、そういうメカニズムですか。睡眠時無呼吸症候群は、寝るときに鼻に装着したマスクから空気を取り込むCPAP(シーパップ)という治療が一般的。「CPAPを使うと、頻尿も改善します」とのことです。

 周囲に尿漏れの悩みを抱えている人は多いですね。友人に、男性用の尿漏れパッドを教えてあげたら安心して生活できると喜んでいましたよ。私も5年くらい前に急に夜トイレに起きるようになって。前立腺が大きくなったことが原因でした。

 「頻尿は死に至る病気ではありませんが、QOL(生活の質)に大きく関わります」と高橋先生。気になる人は、専門医に相談。まずは、コロナの“おうち時間”を有効に使って、骨盤底筋訓練と膀胱訓練をやってみましょう。

 ◆生島 ヒロシ(いくしま・ひろし)1950年(昭25)12月24日生まれ、宮城県出身の70歳。米カリフォルニア州立大ロングビーチ校ジャーナリズム科卒業後、76年にTBS入社。89年に退社し、生島企画室を設立。TBSラジオ「生島ヒロシのおはよう定食・一直線」(月~金曜前5・00)は、98年から続く長寿番組。名物コーナー「教えてドクター!病気が逃げてく健康習慣」に登場する名医たちとの親交から、芸能界きっての健康通。

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