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【生島ヒロシ オヤジの処方箋】1日1分“全集中の呼吸”で副交感神経の働きアップ

[ 2020年11月28日 12:00 ]

生島ヒロシ
Photo By スポニチ

 芸能界一、健康に詳しいアナウンサー生島ヒロシ(69)が、シニアに向けて元気に生きる方法を指南する連載「誰も教えてくれなかった“老いるショック”脱出術 オヤジの処方箋」。今回は「呼吸」についてです。大ヒット中のアニメ「鬼滅の刃」で主人公、竈門炭治郎らが訓練していることで、今がぜん注目を集めている「呼吸」。アニメの中だけではなく、実際に体のあらゆるパワーの源なのです。

 《体の隅々の細胞に酸素を》
 皆さん、こんにちは、生島ヒロシです。いやー「鬼滅の刃」の映画、凄いですね。興行収入250億円超えで歴代3位ですか。これは見に行かないと完全に乗り遅れちゃう。物語に「全集中の呼吸」という呼吸法が出てくるんですって。肺に酸素をたっぷり取り込んで、血液の酸素濃度を上げることで、高い身体能力と集中力を発揮するというもの。「自分もやってみたい」とトライするファンの方もいて、注目が集まっているんです。そこで今日は「呼吸」を取り上げます。「自律神経を整える『長生き呼吸法』」(アスコム)などの著書がある順天堂大学医学部教授の小林弘幸先生にお話を伺いました。

 小林先生によると「“全集中の呼吸”はある意味正しい」そうです。う~ん、お医者さんのお墨付きですね。「ゆっくりと深い呼吸をすると血流がアップし、毛細血管を経由して体の隅々の細胞にまで酸素を十分に行き渡らせることができます」とのこと。「呼吸は“タダ”なのに、皆さん呼吸を生かしきれていません。それが現代のストレス社会の要因にもなっています」と話しています。

 小林先生が強調するのは呼吸と自律神経の関係。自律神経には、交感神経と副交感神経があることは、皆さんご存じですよね。交感神経の働きが高くなると血圧が高くなりイライラしがち。副交感神経の働きが高くなると血圧が下がってリラックス。「ストレスが多い現代人は副交感神経の働きが低い傾向にある」そうです。自律神経は一方が高い時に、もう一方は低くていい、というものではないそうです。どちらも高いレベルを維持することが「自律神経のバランスが整っている」ということなんですって。自律神経のバランスが取れると血流がアップし、全身に血液が行き渡るそうです。

 ということは、我々現代人は低い副交感神経をアップさせないといけない。小林先生によると、そのカギが「呼吸」なのです。

 《肩凝り、冷え性改善効果も》
 小林先生は「ゆっくりと深い呼吸をすると副交感神経が高まります」と話します。そこで勧めるのが「長生き呼吸法」です。

 イラストを見てください。鼻から3秒吸って、口から6秒かけて吐く、というものです。この時両手で脇腹をつかんで、吐くときに脇腹の肉をへその方向へ揉(も)んで腸を刺激することが大切。「腸も自律神経をコントロール。腸を刺激すると副交感神経がアップします」とのことです。横隔膜の周辺には自律神経が集まっていて「ゆっくりと息を吐くと横隔膜の動きが大きくなり、自律神経を刺激して、副交感神経の働きが高まる」んですって。ほかに自律神経に制御されている消化や体温調整などと違い、呼吸は、長短、回数と自分で意識的にコントロールできますからね。

 「長生き呼吸法」は鬼滅の「全集中の呼吸」のように四六時中やらなくていいそうです。1日1分でもいいんですって。気づいたとき、短時間でどこでもできますね。吸う・吐くは1対2で、4秒なら8秒でOKだそうです。

 小林先生は鼻から吸う利点も説明してくださいました。鼻にある副鼻腔(びくう)では一酸化窒素が作られていて、鼻から吸うと空気と一緒にこの一酸化窒素が肺に送られる。一酸化窒素には血液が酸素を取り込む量を増やす作用がある。鼻から吸えば、それだけたくさんの酸素が全身に行き渡るわけです。「一酸化窒素には血管を広げる効果があるので血流も良くなる」そうです。深くゆっくりした呼吸で自律神経が整えば血流アップしていくわけですから、血流不足が主な原因の肩凝り、冷え性などにも改善効果が期待できます。

 私はアナウンサー時代に、鼻からゆっくり吸う腹式呼吸を身につけました。いまでも眠れない時なんかは腹式呼吸で気持ちを落ち着かせています。普段から、吸うより吐く方に時間をかけるように意識していますよ。

 小林先生は「新型コロナウイルス対策にも大いになり得ます。血流が免疫細胞まで十分届くことになるからです」とも話しています。コロナへの不安からくるストレスなどは、まさに現代社会の鬼。“呼吸の刃”で断ち切りましょう。

 ◆生島 ヒロシ(いくしま・ひろし)1950年(昭25)12月24日生まれ、宮城県出身の69歳。米カリフォルニア州立大ロングビーチ校ジャーナリズム科卒業後、76年にTBS入社。89年に退社し、生島企画室を設立。TBSラジオ「生島ヒロシのおはよう定食・一直線」(月~金曜前5・00)は、98年から続く長寿番組。名物コーナー「教えてドクター!病気が逃げてく健康習慣」に登場する名医たちとの親交から、芸能界きっての健康通。

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