×

旅・グルメ・健康

【生島ヒロシ オヤジの処方箋】ぎっくり腰予防に じっくり体幹トレ、無理なく腹横筋を鍛えよう!

[ 2021年10月1日 12:00 ]

ぎっくり腰予防 体幹トレーニングの例
Photo By スポニチ

 芸能界一、健康に詳しいアナウンサー生島ヒロシ(70)が、シニアに向けて元気に生きる方法を指南する連載「誰も教えてくれなかった“老いるショック”脱出術 オヤジの処方箋」。今回は「ぎっくり腰」についてです。突然、激しい痛みに襲われて、動くことができなくなることもあります。加齢で軟骨が減っている高齢者は、特に注意が必要です。

 皆さん、こんにちは、生島ヒロシです。新型コロナウイルスによる在宅勤務が長くなるのに比例して、腰の痛みを訴える人が増えているんですって。座り慣れたオフィスの椅子とは違うところ、リビングの軟らかいソファとかに長時間腰掛けて作業をしている影響とも言われています。今日は、そんな腰の悩みの中でも、何の前触れもなしに起こる「ぎっくり腰」を取り上げます。医学博士で麹町白石接骨院(東京都千代田区)の白石洋介院長にお話をうかがいました。

 「ぎっくり腰は、正式には急性腰痛症と呼ばれます。ぎっくり腰の定義は曖昧ですが、原因の8割は椎間板が関係しているといわれています。椎間板とは、骨と骨の間にある軟骨で、加齢に伴って減っていきます。特に5つある腰椎のうち骨盤に近い第4、第5腰椎の椎間板は減り方が著しい」と白石先生。

 椎間板は軟骨細胞の集まりで、高齢者はMRIで調べると、この軟骨細胞がなくなってきているのがはっきり分かるんですって。「衝撃を和らげる役割をしている軟骨がなくなってくると、じん帯や腱がむき出しの状態になります。クッションがなくなったじん帯や腱の神経がちょっとした刺激に反応し痛みが出る。これがぎっくり腰の原因の約8割を占めます」とのことです。

 ぎっくり腰は本当につらいですよね。トイレにもはって行くほどですから。でも通常は2週間ほどで痛みは治まります。白石先生は「最初の2日間は安静に」と強調します。「足の捻挫を思い浮かべてください。腫れているのにマッサージしたり、ストレッチしたりしますか?ぎっくり腰も同じです」。実際に、患部のマッサージを受けたりして症状を悪化させて来院する患者さんも多いんですって。2日間というのは「体が治すための環境をつくる“炎症期”が約48時間といわれていることから」だそうです。

 若い人のぎっくり腰は約8割が軽度の椎間板ヘルニアということですが、高齢者は圧迫骨折も疑わないといけないそうです。「せき払いするとズキンと痛い、腰の痛いところを拳で軽く叩くとしゃがみ込むほど痛い。これらは圧迫骨折のサイン。即手術をした方がいい場合もあります」とのこと。痛みがひどいときは専門医を訪ねましょう。

 日常生活の何げない動作で突然起こるぎっくり腰。いつもビクビクしているわけにはいきませんが、それでも高齢になったら注意は怠らないようにしましょう。白石先生は「とにかく不用意な前傾姿勢を取らないことです」と訴えます。「圧力のクッション剤である軟骨がなくなっているのに、かがむのはよくない」とのことです。物を持ち上げるとき、拾うときは膝を曲げる。高いところにある物を取るときは、無理な背伸びをせず、踏み台に乗る。気を使っていきましょう。

 予防法はどうでしょうか。白石先生は体幹トレーニングを勧めます。読んで字のごとく、体の中心、背骨周りの胴体の筋肉を鍛えることです。インナーマッスルという言葉、よく耳にするでしょ?あれです。実は、この連載を担当しているスポニチの記者さんがぎっくり腰になって、今ちょうど2週間が経過するところ。ぎっくり腰になった翌日に病院でエックス線検査を受けたところ、インナーマッスルが弱いと指摘されたんですって。

 イラストを見てください。体幹トレーニングの代表的な2つの運動です。「腰の横にある腹横筋と呼ばれる筋肉を鍛えることが大事」と白石先生。この腹横筋は腹筋と背筋をつないでいるもので「腹横筋を鍛えないと、体が本来の軽く反った姿勢“生理的前湾”を保てない」からだそうです。

 白石先生は「腰は横向きに動く力に弱い」とも指摘。寝る姿勢にも注意が必要で「仰向け、うつ伏せは、腰の椎間板が一番不安定な方向に力がかかる寝方。足をくじいた方向にずっと力をかけているようなものなのです」とのこと。理想は横向きに寝ることで「エビのように膝を軽く曲げて、胎児が母親のおなかの中にいるようなポジション」がいいそうです。

 ぎっくり腰は痛いし、日常生活も支障が出ます。予防の体幹トレは器具も必要なく簡単。コロナのおうち時間で気軽に始められます。ただし無理をしない範囲で。何といっても、腰は全ての「要」ですから。

 ◇生島 ヒロシ(いくしま・ひろし)1950年(昭25)12月24日生まれ、宮城県出身の70歳。米カリフォルニア州立大ロングビーチ校ジャーナリズム科卒業後、76年にTBS入社。89年に退社し、生島企画室を設立。TBSラジオ「生島ヒロシのおはよう定食・一直線」(月~金曜前5・00)は、98年から続く長寿番組。名物コーナー「教えてドクター!病気が逃げてく健康習慣」に登場する名医たちとの親交から、芸能界きっての健康通。

続きを表示

この記事のフォト

バックナンバー

もっと見る