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【生島ヒロシ オヤジの処方箋】痛風予防しコロナ重症化リスクも回避

[ 2020年10月10日 12:00 ]

痛風対策の例
Photo By スポニチ

 芸能界一、健康に詳しいアナウンサー生島ヒロシ(69)が、シニアに向けて元気に生きる方法を指南する連載「誰も教えてくれなかった“老いるショック”脱出術 オヤジの処方箋」。今回は「痛風」です。新型コロナウイルスの感染拡大後、痛風患者が増加したというデータがあります。今注意すべきこととは?

 《在宅増え食生活の乱れ顕著に》
 皆さん、こんにちは、生島ヒロシです。朝晩肌寒くなってきました。新型コロナだけでなく、風邪、インフルエンザにも注意しないと。今年は予防接種、早めに受けましょう。

 さて、今日は痛風です。厚生労働省の調査では、2016年の患者数は約110万人。今や“痛風予備軍”はなんと1000万人を超えてるんですって。私もTBSから独立した1989年ごろ、かかとに痛みが出だして、調べたら尿酸値が13(mg/dl=ミリグラムパーデシリットル)もあったんです。7が基準といわれてますから、もう完全な痛風でした。

 ちょっと怖いデータがあるんです。日本生活習慣病予防協会が医師にアンケートを取ったところ、ウィズコロナの生活になって、痛風と痛風に直結する高尿酸血症の患者が30%も増加。とにかく痛い痛風はQOL(生活の質)を低下させますから、本当に注意しないと。そこで今回は、両国東口クリニック(東京都墨田区)理事長の大山博司先生に対策をうかがいました。大山先生はまず「痛風には食生活の乱れと運動不足が関係します」と強調。「コロナで在宅勤務、おうち時間が増えたことで予備軍は増えてます」と話しています。

 そもそも痛風はなぜ起こるのでしょう。「プリン体」って聞いたことありますよね?このプリン体が鍵です。プリン体は人間の細胞の中にある「核酸」の構成物質。新陳代謝で古い細胞が壊れると、このプリン体が放出されます。プリン体は肝臓で分解され「尿酸」に変化。血液中に尿酸が増えすぎると、一部が結晶化して手足の関節などに蓄積。これが痛み、つまり痛風の原因となるそうです。

 「プリン体は8割が体内で作られます。食べ物から入るのは2割ぐらいです」と大山先生。驚きました。元々体の中にそんなにたくさんあるものだなんて思ってませんでした。「だから、プリン体をたくさん取らない飲食を心掛けることが大事なんです」とのことです。

 プリン体はビール酵母にたくさん含まれています。最近はプリン体ゼロのビールも人気。でもプリン体ゼロだからといってたくさん飲んでいいわけではないんですって。「体内でアルコールを分解する時にエネルギー源としてプリン体を使います。大量に分解すると、その分、尿酸が増えることになるからです」。大山先生は1日のアルコール摂取量の目安として、ビールなら500ミリリットル、日本酒なら1合、焼酎なら150ミリリットル、ウイスキーならダブルで1杯、を薦めます。

 《乳製品と適度な運動がおすすめ》
 痛風にはイクラやタラコなど魚卵はダメというイメージがありますよね。大山先生によると「必ずしもそうではない」とのことです。なぜなら、プリン体は動植物の各細胞の中に1つずつ存在しているからだそうです。「魚卵は一粒一粒が細胞です。その一粒一粒が目に見えますよね。でも肉はどうですか?細胞は見えないですよね」。肉1切れには細胞がぎっしり詰まっている、つまり目に見えないほどのプリン体があるということです。特に鶏のレバーは要注意だそうです。「肝臓は特に細胞の塊」だからですって。大山先生は鶏なら卵を薦めます。「鶏卵も1つの細胞なのでプリン体は1つ」ということからです。

 では肉ではなく魚ならいい?そうともいえないんですって。「特にカツオやマグロなどの回遊魚はプリン体が多いです。回遊するため筋肉が付いていて細胞が密になっているので」とのことです。「鶏のレバーもマグロも食べてはダメということではありません。毎日のように食べるのがよくないのです」。鶏のレバーでビールは週1回ぐらいに抑えましょう。

 大山先生は「ラーメンや鍋ものの汁もあまりお薦めできない」と話しています。「プリン体が溶け出しているから」だそうです。でも、あれも食べられない、これも食べられないではストレスがたまります。実はストレスも尿酸値を上げることが分かっています。ストレスをためないよう、食べる時には限度を考えるようにしましょう。

 大山先生のオススメは乳製品。「乳製品はプリン体をほとんど含まず、乳タンパクが尿酸の排出をよくする」とのことです。

 運動はどうでしょうか。実は体を動かすにも注意が必要です。「筋力トレーニングは筋肉を壊す運動。筋肉が壊れると尿酸ができます。数回しか持ち上げられない重いウエートでの筋トレではなく、20回ぐらいできる重さを心掛けてください」。おでこに血管が浮き出るような限界突破の激しい運動はあまりよくないということですね。痛風予防には、ウオーキング、ジョギングなどの有酸素運動がいいそうです。私も朝晩、犬の散歩を兼ねたウオーキングで尿酸値が基準の7ぐらいまで下がりました。

 痛風の入り口となる高尿酸血症は新型コロナの重症化リスクになるといわれています。尿酸値は、なかなか自分では分かりません。大山先生は「まずは健康診断での尿酸値をしっかり意識する。一度痛風の治療を始めたら継続することも大事」と強調します。コロナ感染予防と並行して、食生活の乱れ、運動不足にも気をつけていきましょう。

 ◆生島 ヒロシ(いくしま・ひろし)1950年(昭25)12月24日生まれ、宮城県出身の69歳。米カリフォルニア州立大ロングビーチ校ジャーナリズム科卒業後、76年にTBS入社。89年に退社し、生島企画室を設立。TBSラジオ「生島ヒロシのおはよう定食・一直線」(月~金曜前5・00)は、98年から続く長寿番組。名物コーナー「教えてドクター!病気が逃げてく健康習慣」に登場する名医たちとの親交から、芸能界きっての健康通。

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