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【全国ジャケ食いグルメ図鑑】佐賀市諸富町 大臣もうなる!?愛おしい一杯

[ 2019年8月23日 12:00 ]

佐賀県にある「大臣閣」
Photo By スポニチ

 人気ドラマ「孤独のグルメ」の原作者、久住昌之さんが外観だけで店選びをする「全国ジャケ食いグルメ図鑑」。店主が語らずとも、店が語るのが「ジャケ食い」の醍醐味(だいごみ)。今回出会った佐賀のラーメン店は、店名、メニュー、湯飲み、丼とさまざまな物が歴史を語ってくれます。のれんを守るお母さんと娘さんの人柄も伝わる店内外。そして、まさかの場所にも…。

 また九州は佐賀の店。佐賀市内だけどちょっと駅から遠い諸富町。先月、こちらの海苔(のり)漁師さんの、新船の進水式に呼ばれた。

 その帰りに、この店を発見。

 名前がいい。「大臣閣」。「閣」がラーメン屋っぽくない。大臣の閣。

 そしたらのれんに「ラーメン ホルモン」と書いてある。焼き肉屋なら「閣」というのもわかる。もともと焼き肉屋さんなのか。

 と思って入った。中は昭和感溢(あふ)れるラーメン屋だ。焼き肉の網などはどこにも見えない。

 壁の木のメニューがシブい。かっこいい。

 ラーメン中心の店で、ホルモンや焼き肉は、できたものが皿で一人前ずつ来るようだ。ラーメン500円。ホルモン450円。安い。

 カウンターについて、ラーメンを注文。

 おばあちゃんと娘さん?2人で作って運んでいる。まさに家庭的雰囲気。小さなおばあちゃんが、一杯一杯ラーメンを作っていく様子が見え、たまらなく愛(いと)おしい。何よりの調味料だ。

 湯飲みに「出前迅速」と書いてある。なかなか見なくなった4文字だ。

 出てきたのは九州らしいとんこつラーメン。海苔はなく、具はチャーシューが3枚にネギのみ。シンプル。替え玉も150円でもらえる。

 さっそく熱いところをズルズルッといただく。うん、見た目よりずっとあっさり。そうなのだ。ボクは何軒か佐賀でラーメンを食べたが、博多ラーメンよりスープがあっさりしていて、コクはあるけどスッキリしている。ボクは佐賀ラーメンのほうが好きだ。細いストレート麺が合ってる。ゴマを振り、途中で紅生姜(しょうが)を加えたりして、スルリと一杯食べてしまった。そしたら丼の中から「大臣閣」の字が出てきて、また嬉(うれ)しくなる。

 あとで、創業50年以上の店と、地元の人に聞いた。そうかやっぱりねぇ。

 営業時間外に店の前を車で通って、ちょっと驚いた。屋根に、色違いの瓦でデカデカと「ラーメン」と書いてある。飛行機に見せてるのかそれ。

 ◇大臣閣 ラーメン500円。佐賀県佐賀市諸富町大字諸富津138の9。JR佐賀駅から車で約30分、佐賀市営バス・西鉄バス「諸富橋」停留所から2分。(電)0952(47)2121。営業時間は午前11時30分~午後9時。定休日は第2・4火曜。

 ◆久住 昌之(くすみ・まさゆき)1958年生まれ、東京都出身。漫画家、漫画原作者、ミュージシャン。81年、和泉晴紀とのコンビ「泉昌之」として月刊ガロで「夜行」でデビュー。94年に始まった谷口ジローさんとの「孤独のグルメ」はドラマ化され、新シリーズが始まるたびに話題に。舞台のモデルとなった店に巡礼に訪れるファンが後を絶たない。フランス、イタリアなどでも翻訳出版されている。

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