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【生島ヒロシ オヤジの処方箋】内視鏡検査 コロナ禍で「受診控え」増加、2年空き…がん進行も

[ 2021年6月4日 12:00 ]

生島ヒロシ
Photo By スポニチ

 芸能界一、健康に詳しいアナウンサー生島ヒロシ(70)が、シニアに向けて元気に生きる方法を指南する連載「誰も教えてくれなかった“老いるショック”脱出術 オヤジの処方箋」。今回は「コロナ禍で内視鏡検査の受診控え」について考えます。年1回の検査を受けなかったことで、がんが進行していたケースもあります。

 皆さん、こんにちは、生島ヒロシです。東京などでは、新型コロナウイルスの緊急事態宣言が延長となりました。東京五輪もどうなるんでしょうか。観客は入れるのか、入れないのか。混沌(こんとん)とした状況が続きます。

 コロナ禍で医療全般に「受診控え」という深刻な現象が起きています。今日はその中で「内視鏡検査」について取り上げます。実は先日、さいたま市の浦和駅前にオープンした浦和消化器内視鏡クリニック代表の原田英明医師とテレビ番組で共演する機会がありまして、意気投合。胃の内視鏡検査は必ず年に1回はやっていたのに、コロナで2年半空いてしまっていたので、早速行ってきました。

 原田先生は「内視鏡検査は適切な時期に受けていただきたい。40歳を超えたら年1回。がんの手術をした人も年1回は受診を」と強調。原田先生の患者さんでも、コロナで「受けたくない」「もう1年延ばしたい」と検査を控えた人がいたそうです。「検査が2年空いてしまい、新しく食道がんが見つかったり、進行していたりした患者さんが2人ほどいました。年1回検査していれば、おそらく内視鏡で処置できたと思いますが、結局、外科的手術になってしまいました。大腸がんでも同様のケースがありました」とのことです。このお話を聞いて、定期健診の大切さを再確認しました。

 内視鏡検査でないと、見つかりにくいがんもあるそうです。逆流性食道炎が続くことで、胃と食道の接合部に炎症が起き、それが続くことでがん化する「バレット腺がん」など。「これは、予後もよくないがん」と原田先生は注意を促しています。

 胃潰瘍、十二指腸潰瘍も、内視鏡でないとなかなか見つけられないそうです。今回、私は大腸にポリープが2個見つかりました。一緒に検査した妻も大腸に2個。その場で取ってもらいました。麻酔で眠っているうちに全部やってもらえるので負担も全くありませんでした。思い立ったが吉日。受けてよかったです。

 コロナがまん延した当初、日本消化器内視鏡学会は「緊急性のない検査や治療は、延期も含め検討」との提言を出しました。鼻や口から管を通すんですから、患者がせき込んだり、くしゃみをしたら、直接、飛まつを浴びますからね。原田先生の周りでも、飛まつでの感染を恐れていたお医者さん、看護師さんもいたそうです。でも「病院側は、しっかりとした感染対策を取っています」ときっぱり。

 原田先生のクリニックでは、飛まつの吸引器を導入。歯科医でよく使われている機材と同様のものだそうです。あと、胃カメラを挿入するときに口に付けるマウスピース、組織を切り取るときに使う生検鉗子(かんし)やスネアと呼ばれる機器をディスポーザブル(=使い捨て)にしたりしているそうです。

 原田先生は「コロナ禍での検査は不安もあると思いますが、医療側も患者の皆さんの不安を取り除くようにしています。クリニックに直接電話して“どんな対策をとっていますか”とか“いま受けても大丈夫でしょうか”と聞いていただければ。ホームページに感染対策を示しているクリニックも、安心して受診できる目安になるでしょう」と話しています。我々患者は自分で納得した上でクリニックに向かう、ということですね。

 コロナ感染は確かに心配です。でも心配しなければいけないのは、コロナだけではありません。内視鏡検査控えが続けば「数年後に、致命的な状態のがん患者が増えるのではないか」と心配しているお医者さんもいます。“今そこにある危機”をしっかり認識しつつ、“いつか来るかもしれない危機”についてもしっかり備えましょう。

 《夏は「冷たいもの控え」で胃腸を整えよう》夏に向けて胃腸の状態も整えておきたいですね。専門家の原田先生に注意点を伺いました。まず「冷たいものはなるべく控える」とのことです。急に冷たいものが入ってくると胃腸に炎症が起きて、胃腸の動きの調整がうまくいかなくなるそうです。「飲み物は、できれば常温のもの」。あと「老廃物が体内にたまる“便秘”はとにかくよくない」とのこと。原田先生は、ブロッコリーやキウイで繊維質を取っているそうです。便通は快調ですって。コロナで外出を控える傾向が続いていますが、これもよくない。「体を動かさないと自律神経に影響が出て、それが腸にも及び、排便のリズムを狂わせてしまう」のだそうです。原田先生は「室内でウオーキング運動ができる健康器具などを使ってみてはどうでしょう」と勧めています。

 ◇生島 ヒロシ(いくしま・ひろし)1950年(昭25)12月24日生まれ、宮城県出身の70歳。米カリフォルニア州立大ロングビーチ校ジャーナリズム科卒業後、76年にTBS入社。89年に退社し、生島企画室を設立。TBSラジオ「生島ヒロシのおはよう定食・一直線」(月~金曜前5・00)は、98年から続く長寿番組。名物コーナー「教えてドクター!病気が逃げてく健康習慣」に登場する名医たちとの親交から、芸能界きっての健康通。

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