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【生島ヒロシ オヤジの処方箋】意外な熱中症予防法「手のひらを冷やす」

[ 2020年8月22日 12:00 ]

生島ヒロシ
Photo By スポニチ

 芸能界一、健康に詳しいアナウンサー生島ヒロシ(69)が、シニアに向けて元気に生きる方法を指南する連載「誰も教えてくれなかった“老いるショック”脱出術 オヤジの処方箋」。今回は今、注目されている「熱中症の予防法」についてです。連日の酷暑。室内で、屋外で、体のある意外な場所を冷やすと予防効果が期待できるのです。

 《放熱必要な時に太くなる「AVA血管」》
 皆さん、こんにちは、生島ヒロシです。いや~暑いですね。新型コロナウイルスの影響で外出も控えめだっただけに、表に出たときのこの暑さには体が適応できないですね。室内もエアコンを使わなければ同じ。厳重に注意しましょう。

 今日は熱中症の予防法を紹介します。ちょっと意外なんですが「手のひらを冷やす」という方法です。国内外の大学や企業の研究機関が効果を発表しているんです。内科、心療内科が専門で寺下謙三クリニック(東京都千代田区)院長の寺下謙三先生にお話を伺いました。

 寺下先生は手のひらを冷やす有効性について「子供は手が温かくなると眠くなっているサイン。これで説明ができます」と話します。眠るためには脳や内臓を休息させなければならず、そのためには体の内部の温度を下げる必要がある。子供は体温を下げるために手から放熱しているとのことです。

 では、なぜ手のひらから熱が逃げるのか。手のひらにある動静脈ふん合血管、通称AVA血管と呼ばれる血管が鍵です。図<1>を見てください。AVA血管とは動脈と静脈を結ぶ血管。普段は閉じていますが、体温が上昇して放熱が必要になったときには、血をたくさん流すために太くなります。寺下先生は「AVA血管は道路が渋滞したときのバイパス」と例えます。体を巡る血液がたくさん流れる手のひらを冷やせば、体温上昇を抑える効果が期待できるわけです。AVA血管は手のひらのほか、頬や鼻、足の裏にもあるんですって。

 じゃあガンガン冷やせばいいんでしょうか。寺下先生は「AVA血管はあまり冷やすと収縮して、かえって逆効果」と指摘します。各機関の研究では、冷やす温度は12~15度が最適という結果が出ています。寺下先生は今回、冷たいものを買うと付いてくる保冷剤を使って自ら検証してくださいました(図<2>)。非接触式体温計の表面温度測定モードで測ったところ、保冷剤の表面は冷たすぎたので、キッチンペーパーでひと巻き。すると適温に近づき「握ると少し冷やっとして、効果が一定時間感じられた」そうです。

 「12度、15度がどれくらいの温度なのか体感することが大事」と強調。コロナで非接触式体温計を購入した家庭も多いと思います。温度を測って、握って確認してみましょう。

 《室内ではまずエアコンで温度を下げる》
 手のひらを冷やすのは外出の時だけでなく、室内でも効果が望めます。でもエアコンも使わないと。熱中症で搬送されたり、亡くなる高齢者の多くがエアコンをつけていなかったと報道されています。寺下先生は「鼻は自動車でいうラジエーター。でも吸い込む空気の温度が体温より高ければ冷えるはずがない。人工物を使って体温を下げるよりほかない」とエアコンの使用を強く勧めます。

 寺下先生は、温度計を手にエアコンでも検証実験。エアコンをオフにすると、室温は36度まで上昇。32度を超えると「危険な感じがした」そうで、オンにして29度、湿度50%まで下がると「少し涼しいと感じた」とのことです。「自分で体感し、数字をしっかり意識することが大事」と訴えます。

 私は就寝中のエアコンは、喉が乾燥するから嫌だったんです。声の仕事をしてますから。でも最近はそうも言ってはいられない。寝る前に22、23度まで冷やして、30度ぐらいに設定して床に入ってます。おでこには冷却シート。気持ちいい。オススメです。

 寺下先生のクリニックは「知識は最強のワクチン」という言葉を長年のポリシーにしているそうです。数字で確認し身につけておくことが重要、ということですね。12度や15度がどれくらいなのか、私も確かめてみたいと思います。

 手のひらを冷やすのは予防です。緊急の場合には太い血管が通る首、脇の下、脚の付け根などを冷やすことが大事。こまめな水分補給もお忘れなく!

 ◆生島 ヒロシ(いくしま・ひろし)1950年(昭25)12月24日生まれ、宮城県出身の69歳。米カリフォルニア州立大ロングビーチ校ジャーナリズム科卒業後、76年にTBS入社。89年に退社し、生島企画室を設立。TBSラジオ「生島ヒロシのおはよう定食・一直線」(月~金曜前5・00)は、98年から続く長寿番組。名物コーナー「教えてドクター!病気が逃げてく健康習慣」に登場する名医たちとの親交から、芸能界きっての健康通。

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