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【生島ヒロシ オヤジの処方箋】一人で生きる準備して うつ病を回避

[ 2020年3月14日 12:00 ]

生島ヒロシ
Photo By スポニチ

 芸能界一、健康に詳しいアナウンサー生島ヒロシ(69)が、シニアに向けて元気に生きる方法を指南する連載「誰も教えてくれなかった“老いるショック”脱出術 オヤジの処方箋」。今回は「孤独死」について考えます。男性の孤独死は女性の約2倍。妻に先立たれた男性は同年齢で比較すると、平均余命が短くなる可能性が約30%も高いというデータもあります。

 《残された男性、短命になる可能性大》皆さん、こんにちは、生島ヒロシです。新型コロナウイルスの感染拡大が止まりません。いたずらに怖がらず、まずはインフルエンザ対策と同じように手洗いをしっかり。特に高齢者の皆さん、気をつけてくださいね。

 コロナ騒動の中、先月11日に野村克也監督がお亡くなりになりました。84歳。自宅の浴槽でぐったりしているのをお手伝いさんが見つけ病院に搬送されたそうです。死因は虚血性心不全。おしどり夫婦として知られ、2017年12月に亡くなった沙知代さんと同じ死因。現役時代、たくさんの報道陣に囲まれて笑顔で話している姿が印象に残ってましたから、ショックでしたね。

 野村監督は病院に運ばれましたが、全国では年間約3万人が孤独死していると言われています。交通事故死が3000人強ですから、10倍です。男女比では、男性が女性の2倍だそうです。米国の調査ですが、男性は妻が亡くなると、同じ年の平均余命より短くなる可能性が30%も高くなるんですって。

 懇意にしている保坂サイコオンコロジー(精神腫瘍学)クリニック(東京都中央区)の院長で医学博士の保坂隆先生にお話をうかがってきました。保坂先生は長年の診療経験に基づいて「男性は妻に先立たれるともろい」と話します。男性は女性と比べて家事をこなす生活力、社会・周囲と交流するソーシャルネットワーク力で随分と劣るそうです。肩書や名刺の付き合いが長かった男性は、身ひとつになったとき弱いんでしょうね。どうしてもプライドが邪魔をして、周囲に気軽に話しかけられないんですって。結果、孤独になってしまうんです。

 私はテレビやラジオの仕事で若い人とも交流があってありがたいです。でももっと積極的になろうと思って最近「小唄」を身につけようと資料を取り寄せました。趣味や特技で交流範囲を広げるのは手だと思いますよ。

 《一周忌までは周囲のサポート重要》保坂先生は「一周忌までが重要」と強調します。配偶者が亡くなって1年間は、病気になる率、急死する率が高くなるそうです。実際、伴侶を失った高齢者はストレスで免疫細胞が減り、深刻な病気を発症する可能性が高いというデータもあります。人生における出来事のストレス度を調査した米国の有名な研究でも、配偶者の死は断然の1位です。

 では、どうすればいいのでしょうか。保坂先生は、まず周囲が積極的に声をかけることを勧めます。例えばお通夜の席で「一周忌まではリスクがあると思う」とはっきり話して「1カ月に1度でも、みんなで会って食事でもしないか」と持ちかけてみる。会って、顔色をチェックする。確認するわけです。外出する機会にもなりますしね。

 自分でできることとして保坂先生は、奥さんが元気なうちに料理を教わることを挙げます。コンビニ弁当があるといっても、一人になって一番困るのは食事。「料理教えてくれよ」と頼めば奥さんも嫌な気はしないでしょうし、コミュニケーションにもなります。あとは、妻に先立たれたときのイメージトレーニングをすることだそうです。食事は、洗濯はどうしようかと、心の準備をしておくのです。

 嫌なデータがあるんです。配偶者を亡くした後、1年間で約15%がうつ病になる。保坂先生は「野村監督も晩年、言動から見ると決して楽しそうではないように思えました。軽いうつが遷延(せんえん)していたのではないでしょうか」と話していました。保坂先生監修の「うつ病のサイン」を見てください(図)。大きく分けて3項目。当てはまることが多くないかチェックしてみてください。

 あと、歩くことは本当に大事だと思います。しっかり歩ける70代、80代を目指しましょう。先月、生島企画室に芳村真理さんが加わりました。亡くなったご主人の介護を経て仕事復帰。84歳ですけど元気ですよ。陽気も良くなってきました。濃厚接触には注意して、桜の花でも見に出歩きましょう。気分も晴れますよ。

 ◆生島 ヒロシ(いくしま・ひろし)1950年(昭25)12月24日生まれ、宮城県出身の69歳。米カリフォルニア州立大ロングビーチ校ジャーナリズム科卒業後、76年にTBS入社。89年に退社し、生島企画室を設立。TBSラジオ「生島ヒロシのおはよう定食・一直線」(月~金曜前5・00)は、98年から続く長寿番組。名物コーナー「教えてドクター!病気が逃げてく健康習慣」に登場する名医たちとの親交から、芸能界きっての健康通。 

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