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【生島ヒロシ オヤジの処方箋】鼻毛は「第1のマスク」コロナ予防にも有効

[ 2021年2月13日 12:00 ]

生島ヒロシ
Photo By スポニチ

 芸能界一、健康に詳しいアナウンサー生島ヒロシ(70)が、シニアに向けて元気に生きる方法を指南する連載「誰も教えてくれなかった“老いるショック”脱出術 オヤジの処方箋」。今回は「鼻毛」です。鼻毛はむだ毛ではありません。重要な役割があります。毛抜きで抜くなどもってのほか。毛穴から雑菌が入り、重い病気につながることもあるのです。

 皆さん、こんにちは、生島ヒロシです。新型コロナウイルスへの警戒が続きます。まだまだ感染者数は高止まり。しっかり感染予防していきましょう。

 マスクを1日中つける生活が続きますが、家に帰ってきて洗面所で外すと…鼻の穴から鼻毛がコンニチハしてる!ずっとマスクをしていると、ついついお手入れもおろそかになりますから。でも急いで毛抜きで引き抜くのはダメです。鼻毛を抜くのは絶対NG。東京新宿メディカルセンター耳鼻咽喉科診療部長で医学博士の石井正則先生にその理由と、鼻毛の大切さについてうかがいました。

 そもそも鼻毛が伸びるのはなぜでしょうか。「老化現象です。耳毛も眉毛もそう。毛が抜けるサイクルが加齢で長くなるんです。もう毛が抜ける時期というサインを出す遺伝子が、老化でサインを出し忘れるんです」と石井先生。村山富市さんを思い出しますね。

 石井先生いわく、鼻毛の役割は主に3つ。まずはフィルター。「鼻から吸った空気に含まれるホコリ、ウイルスの侵入を防いでくれます」とのこと。次に加湿。「息を吸って吐いたとき、鼻毛に水蒸気が付きます。肺の中は湿っているからです。もう1回吸うと、その鼻毛に付いた水分で加湿された空気が喉に送られるのです」。3番目は加温。「鼻毛があることで、吸った空気が暖められ、肺に送られます」。多機能ですね。

 また、鼻の奥には粘液に覆われた線毛という微細な毛があって、ウイルス、細菌などを喉の奥に送り込むんだそうです。飲み込んで、最終的に胃酸で殺す。鼻毛がないと、この粘液が乾燥して線毛の動きが弱くなるんですって。鼻毛はインフルエンザや花粉症だけでなく、まだ十分な研究はなされていないそうですが、コロナ予防にも有効と考えられるそうです。「鼻毛がある人はマスクをしているようなもの。完璧とは言えませんが『鼻毛は第1のマスク』です」と石井先生。最近、ワックスで鼻毛を一気に脱毛して動画を公開している人がいますが、とんでもないことなんですって。

 なぜ、鼻毛を抜くのがいけないのでしょうか。「抜くと、傷ついた毛穴から雑菌が入る可能性があるから」だそうです。面疔(めんちょう)、毛嚢炎(もうのうえん)などといわれる感染症につながるんですって。

 石井先生が強調するのは、鼻は脳の近くにあるということ。鼻の感染症は脳まで達する恐れがあるのです。いまは抗生物質が発達したので対処できますが、石井先生がお医者さんになりたてだった40年くらい前は「面疔は命の危険もある病気で怖かった」そうです。最近も、鼻に膿(うみ)がたまったにもかかわらず、コロナ禍で病院受診を控えて、鼻がふくれあがった状態で来院した患者さんがいたそうです。即入院したんですって。抵抗力が弱くなっている高齢者は、髄膜炎など重い病気につながるともいわれています。

 では鼻毛処理はどうすればいいのでしょうか。石井先生は、鼻毛用のハサミで切ることを勧めます。先が丸くなっているやつですね。刃先が鼻の中の皮膚と平行になるようにハサミを入れてカット。この時注意しなければいけないのは、刃先を皮膚に触れさせないこと。傷を作ったら雑菌が入りますから。切るのは鼻の穴の入り口から5ミリほどのところまで。はみ出ていなければいいんですから。

 あと「白髪の鼻毛は抜いてもいい」なんて言う人がいますね。石井先生によると「ダメです。黒い毛と同じで抜いてはいけません」とのことです。

 私は人前に出る仕事なので、鼻毛のケアはしっかりしてます。ローラー付きのカッターを愛用してるんですが、皮膚を傷つけないよう一層気を使わないといけないですね。鼻毛を抜くのは癖になりがち。でも痛みも残ります。やめましょう。

 鼻毛が出ていないか、気にしすぎるのもよくないですね。年を取ったら多少は伸びていても仕方がない、くらいの気持ちでいいのでは。特にいまはマスクをしていますしね。処理は最低限にして、頼もしい「第1のマスク」と付き合っていきましょう。

 ◆生島 ヒロシ(いくしま・ひろし)1950年(昭25)12月24日生まれ、宮城県出身の70歳。米カリフォルニア州立大ロングビーチ校ジャーナリズム科卒業後、76年にTBS入社。89年に退社し、生島企画室を設立。TBSラジオ「生島ヒロシのおはよう定食・一直線」(月~金曜前5・00)は、98年から続く長寿番組。名物コーナー「教えてドクター!病気が逃げてく健康習慣」に登場する名医たちとの親交から、芸能界きっての健康通。

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