小泉悠氏 プーチン大統領の核使用示唆に「脅しでなくなる可能性は差し迫ってはいないと思うんですが…」

[ 2022年10月16日 11:03 ]

東京・台場のフジテレビ社屋
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 ロシアを専門とする東大専任講師の小泉悠氏が16日、フジテレビ「日曜報道 THE PRIME」(日曜前7・30)に出演。ロシアのプーチン大統領はウクライナ東部・南部4州を一方的に併合し、「自国の領土」を防衛するためだとして核兵器使用も選択肢だと主張していることに言及した。

 米政府は、実際に核使用に踏み切る兆候は確認していないとしているが、サリバン大統領補佐官はロシアが対応を誤れば「破滅的な結果」をもたらすと警告。中央情報局(CIA)のバーンズ長官も、ウクライナで苦戦するプーチン氏は「見境がなくなっていて」危険だと分析している。バイデン大統領は6日「このままではキューバ危機以来、初めて核の脅威に直面する。戦術核兵器を安易に使用すれば、アルマゲドン(世界最終戦争)が避けられなくなる」と強い危機感を示した。

 小泉氏は、ロシアのラブロフ外相が国家存亡の危機のみに核使用を想定すると発言したことに「もともとのロシアの宣言政策、文書に書いてある政策の中では、そこまではっきりは言ってないんですよね。ただ今年の秋ぐらいからロシア外務省の声明の中では、国家存亡というのは、領土的一体性を含むという言い方をしている。今のロシア連邦が主張する国境線を犯すということが国家存亡の危機にあたるよということを言い出してるので、要するにこれ以上、反攻作戦を続けるなよというメッセージをウクライナに出しているんだと思うんです」と自身の見解を述べた。

 そのうえで「ただ現実にウクライナはそれで別にこの脅しをかけられて奪還作戦を止めているわけではないので、今のところロシアは脅すばっかりでその話が実際に効いていない。たぶんそのためだと思うんですけど、ロシアは併合した4州の境界がどこかってことをはっきりさせていないんですよね。この行政境界線の全部をとったというわけではないと言っているんです」とし、「どこまで進めば実際にロシアの猛烈な核による反撃みたいなものが引き起こされるかっていうことは、あえてあいまいにすることによって脅しの効果を確保しようとしていると思うんですけれども、それが脅しでなくなる可能性というのも私はまだ差し迫ってはいないと思うんですが、かつてなく懸念される事態であることは間違いないと思います」と自身の考えを述べた。

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2022年10月16日のニュース