侍・大谷 あるぞ胴上げ投手!球団説き伏せた?決勝救援「準備はもちろんしたい」

[ 2023年3月21日 05:05 ]

WBC準決勝   日本―メキシコ ( マイアミ )

キャッチボールする大谷(撮影・会津 智海)
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 ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で3大会ぶりの優勝を目指す侍ジャパンは20日(日本時間21日)、準決勝でメキシコと対戦する。大谷翔平投手(28)は、勝ち上がった場合、21日(同22日)の米国との決勝で救援登板する可能性を明かした。当初は所属するエンゼルスが否定していた米国での投手としての登板。09年の第2回大会以来14年ぶりの世界一奪還へ。DH出場するメキシコ戦で打ち勝ち、決勝のマウンドに上がる。

 目は本気だった。練習後の球場通路のミックスゾーン。大谷は決勝に進んだ場合の登板について「中継ぎでいく準備はもちろんしたい」と言い切った。

 エ軍からは当初「中5日の登板」に加え「先発のみ」の制限がかかり、フィル・ネビン監督が米国での登板を否定した。だが大谷は「球団にもわがままを聞いてもらって、本当に許容してやってもらっているところがある。最後の最後だし、あとは自分の体と相談しながら決めたい」と説明。球団を説き伏せ、世界一を決める決戦での登板への強い意志が尊重された。2連覇を狙う米国が先に決勝進出。エ軍で同僚のMVP3度の現役最強打者で、米国主将のトラウトとの初対決が最大の注目となる。

 実現すれば抑えでの登板の可能性が高くなる。決勝はDHで先発予定で、救援登板にはDH解除が必要。中継ぎで降板した場合はオーダーに投手が入ることになり、その後の選手起用へのリスクが高い。リードした状況で守護神として「胴上げ投手」となるのが現実的だ。決勝での登板への決意を示すように、ローンデポ・パークでの準決勝前日練習では投手練習に専念。右翼後方でルーティンの「壁当て」や水原通訳相手のキャッチボールなどで調整した。

 プロでの救援登板は、16年CSファイナルSのソフトバンク戦の1度。9回に登板し自己最速165キロを計測して初セーブを挙げた。リミッターを解除すれば、佐々木朗に並ばれた日本選手最速更新も期待がかかる。

 そのためには、DHで出場予定の準決勝・メキシコ戦での勝利が不可欠。相手先発はエ軍の同僚で、普段のキャッチボール相手の左腕サンドバル。この日はグラウンドで再会し「気をつけろよ。(キャンプ地の)アリゾナに行く準備はできているか」とお互いに笑顔で火花を散らした。「春先も最後にライブBPでサンディ(サンドバル)相手に(打席に)立った」と直球、スライダー、チェンジアップの球筋もインプット済み。決勝進出を導く一打のイメージはできている。

 「ここから後は勝つだけ。勝つことで日本のファンの人たちは喜んでくれる。(メキシコ戦は)問題なく、計算通りにいけば間違いなく勝てる試合」。打ち勝って、世界一を決めるマウンドに上がる。(柳原 直之)

 ▽大谷ルール 昨季から大リーグで採用。「投手兼DH」で先発出場した場合、投手として降板後もDHとして出場が可能になる。大リーグ全体で二刀流選手を増やそうとの狙いがあり、日本でも今季から採用された。ただ、DHとして先発出場し、途中から投手となった場合は、降板後に再度出場はできない。

 ≪アップはベースランニングのみ!?16年、大谷の唯一の救援登板時に担当の記者が知る調整法≫大谷が決勝で救援登板するにあたり、試合中にどう準備するか。自己最速165キロを計測した16年CSファイナルSのソフトバンク戦(札幌ドーム)と今回の大きな違いは、ブルペンの場所になる。

 前回は4回の攻撃前に、厚沢ベンチコーチ(現侍ジャパン投手コーチ)に「行きましょうか?」と自ら切り出し動き出した。5回からベンチ裏ブルペンで準備を始め、7回に投球練習を開始。「DHで出ていたので、(アップなしで)直接キャッチボールをしても問題なかった」。通常はダッシュで体の切れを出すが、試合のベースランニングで補った。

 決勝に進んだ場合、日本はローンデポ・パークの三塁側ベンチになる予定で、ブルペンは左翼後方。試合中にグラウンドを突っ切る必要がある。DH出場中の準備は、かなり慌ただしくなるはずだ。試合前にブルペン入りし、直前のブルペン投球なしで登板するウルトラCもある。アップ代わりとなるベースランニングにも注目したい。(14~17年日本ハム担当、18年~MLB担当・柳原 直之)

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2023年3月21日のニュース